搾取されるアフリカを描いた作品。
原作は2001年発表のジョン・ル・カレの The Constant Gardener。
全く予備知識なく見始めて「あれ?これなんだか展開がジョン・ル・カレものにそっくり」と思ったら、本当にジョン・ル・カレが原作で驚く。
スパイ映画といえばジョン・ル・カレ、ジョン・ル・カレといえばスパイ映画、という時代があったわけですが、現在御年87歳のル・カレが今でも現役作家であることがすごいです。東西冷戦が終わっても、こういう形でスパイ映画は作れる、という良い例であるのが「ナイロビの蜂」です。
主演はレイフ・ファインズ。ナショナル・シアター・ライブ「人と超人」が素晴らしくてファンになりました。上手い人は何をやっても外れがない。心が虚ろで現実逃避としてのガーデニングに熱中する在アフリカの外交官が、妻を謎の事件で失い、真相を求めてアフリカを彷徨する。風景画のような美しい映像とアフリカの現実の厳しさが同時に迫ってきます。
十数年前の作品だけど、今もおそらくこの映画で描かれた状況からそれほど変わってはいないのだろうと思う。そこが絶望的でもあり悲しくもある。
静かな中にも、正義とは、信念とは、ということを問いかけてくる作品で、これはぜひ観た方がいい一作だと思います。