プペ

リセットのプペのレビュー・感想・評価

リセット(2010年製作の映画)
4.0
単なる破滅脚本の映画でない事は、物語のディテールをみれば分かる。
緊張感が途切れぬ展開は一級サスペンスの証。
無人となった世界の描写や、闇の手が迫るシーンの恐怖演出はかなりのレベルに達しており、決して手を抜いて作られた映画ではないことが伺えた。

キリスト教といってもカトリックとプロテスタントでは違うことぐらいは理解出来るが、終末論と来ると溜め息が漏れる。
映画内で起こる異変の根拠になるのが聖書の預言となるともうお手上げ状態。
なにしろ、お寺の除夜の鐘で煩悩を祓った後、その足で神社に初詣に行くのが当たり前の八百万の神がおいでになる国に長いこと住んでいる身…
なかなか理解はし難い。
しかし、「もともとこういう作品だ」という事を前提にみれば聖書物にしては堅苦しくなく、エンターテインメントとして成立しており、展開自体はテンポ良く流れて行くので退屈な作品ではない。

映画のラストに触れるが、最後に残ったジェームズ(黒人少年)とブリアナ(白人少女)がリセット後の世界のアダムとイブとなったのか。
私の持ちうる教養で本作を全て読み解くことは不可能だ。

それでも、このワンアイデアで押し切った本作には頭が下がる。
セット代を極力うかせるために腐心した感がビシバシ伝わり、エンドロール後には自然と涙が零れ落ちていた。

なかなか楽しい91分間だった。
プペ

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