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殺人の追憶のyaekoのネタバレレビュー・内容・結末

殺人の追憶(2003年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます


実際にあった未解決事件を背景にしているというだけあって、すごい緊張感とやるせなさだった。

今の捜査技術と知見を持って事件に挑んだなら、きっともっと別の展開もあったかもしれないのに、なんて思っても仕方がないことを思わずにはいられなかった。『ゾディアック』が頭を過った。

ずっと荒っぽい方法で犯人を追っていたパク刑事が、相棒だったヨングの負傷からその姿勢を変え、実直に事件と向き合うとした矢先にあの結果、、、
“俺は、もう分からない”
混乱と諦めと、なにもかもに追い詰められたような彼の表情が、あの時と、そして最後に映されて、彼の心境が伝染するかのような余韻、、、すごい後味だった。

どの程度脚本として加えられているのかは分からないけれど、最後のあの少女との邂逅は、現実のままならなさをとても感じさせられた。
恐らく罪人であろうその人物はどこかで、近くにいたはずなのに、どうして交わらないのか。どうしてなのか、何回考えても、不思議で仕方がない。

エンディングの、日に照らされて揺れる麦畑が、ただただ美しくて、なのにどうしてかひどく虚しくて冷たいものに見えた。
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