このレビューはネタバレを含みます
実際にあった韓国での連続殺人事件がモチーフとなっていると聞きました。
ひたすら犯人を追い詰めていく話かと思いきや、そう一筋縄ではいきません。捜査の方法は横暴で雑だし、証拠やてがかりもあまりに頼りなさすぎる。また政治的混乱の中、デモなどにそっちのけの人々の意識が捜査を滞らせたりして、捜査の杜撰さに加え、当時の韓国の世情さえ、この殺人事件を迷宮入りさせた要因だったように感じました。
実際2019年に犯人が分かったようで、すでに時効が成立していたそうですが、犯人はこの作品を何度も視聴したようで…。それは捜査を出し抜いた優越感からでしょうか、それとも自分が映画の題材とされたことで自己顕示欲が満たされたからでしょうか。なんとも胸糞が悪いですね。
「パラサイト」の時はコメディ部分とシリアス部分が前半と後半でくっきり分かれていましたが、この作品は常に緊張感がある中に滑稽さやユーモラスな要素が散りばめられていたので、笑って正解なのかなんなのかよくわからない独特な雰囲気が印象的でした。