シェパード大槻

恋する惑星のシェパード大槻のレビュー・感想・評価

恋する惑星(1994年製作の映画)
5.0
憧れの人が、目を伏せたあとまた目を合わせてくる時の速度と首の角度のような、このフィルムにはそういう美しさと必然性があったと思う。どういうことかっちゅーと、感覚的だけど美しさという基準に於いて正しく、甘美でかつ親しみやすいってこと。映像、音楽、脈絡、セリフ全部が"映画とはまさにこれで良いのだ!!"と思わせる婉曲とキャッチーさを持っていた。初めて見たけど自分にとっての映画の王道のような感じ。オレらこれで育ってきたよなという感じ。(自分には1989-2001が最も良い時代のように思える。それ以降はクソだ!そんなわけないけど。)
一緒に見に行った人が、寛容で良い時代、ケータイがなく非効率的で優しい時代と言っていた。そのベクトルでは見ていなかったので同じ映画でも全然違う感想を持つのだと思った。
この映画、伏線回収や綺麗な収まりが起こらないのがナチュラルで良いと思った。あくまで現実と同じように、整備されていない物語。乱数とまでは言わないけど、問題が解決していないからって次の問題は待ってくれないってこと。宣言なく二本立てだったもん。びっくりしたわ。
最初の物語はあまり愛の何たるかを描いていなかったように思う。愛の本丸じゃなくて愛の側面を描いたような感じ?失恋とか次の恋とか。あるあるって言ったら悪いけど男の失恋を追うオサレムービー?でもこっちの方が好きかも。二個目は付き合ってさえいないけど愛の本丸を描いていたのかなって思う。あのおかしい女の子。狂気的だけど本気だから変なんだよね多分。嘘がないから。あの男がその愛を見抜けたのがすごいなと思う。私だったら気付けないなあ、あの変な形の愛には...。あの男の逞しさがあの女のパンクを受け止められるんだからお似合いだよねinカルフォルニア。
夢中人とカリフォルニアドリームはめちゃくちゃいい。