皿鉢小鉢てんりしんり

スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望の皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

3.9
今やオリジナルが見られないので、一体1977年に何を達成していたのかわからないのだが……
それにしたってさまざまなSEやプロダクトデザインの圧倒的な確かさは、今さらながら信じられないほど卓越しているとしか言いようがない。ミレニアムファルコン、スターデストロイヤー、デススター、タイファイター、Xウィング、ストームトルーパー、R2-D2……等々1個取っても大発明の代物が無限に出てくる。宇宙船の絵を描いてください、って言ってミレニアムファルコンの形を造形するの、よほどのセンスでないとできない芸当であろう。
C-3POは『メトロポリス』の引用かもしれないが、金属の汚れの質感が素晴らしい。
デススターのゲートの、斜めと逆斜めに切った長方形が入れ子で閉まるような動きとか、細部がいちいち良い。
最初は何やってるか分からないのが、後から理解できるような仕掛けも多く、R2-D2がジャワに捕まるところ、一切人語が話されず一体何を見せられてるのだろうか?という疑問が続くが、その後ルークが出てくることで、こいつらはガラクタ拾って売ってる種族なのね、と分かる。未知の世界を観客に伝える話法として圧倒的に正しい。
びっくりするくらいあっさりと大胆な繋ぎをしてるのも効果的で、C3POがR2-D2についてくショットから、即脱出ポッド発射、を見ている帝国軍の絵に繋ぎ、「生体反応がないから誤射だろう」の一言で追ってこない理由を説明、というスマートさ。あるいはデススターによる惑星爆破をワンカットで済ませる潔さ。こういう瞬間こそ痺れるわけです。
ただモスアイズリーの酒場の中とかクロースアップ撮りすぎで、今いち“普通の場面演出力”的には弱かったり、銃撃戦、ライトセーバー戦等のアクションはそれほど魅力的には思えない。プロダクトデザインはアイデアに溢れているが、人間の動きにはあまりアイデアがない、といった印象。
ただ最後のデススター攻略はめちゃくちゃ良くできてて、デススターが反乱軍の基地のある惑星を破壊するために、1つ手前の衛星がどくのを待ってるのがタイムリミットサスペンスとしてすごく上手くいってる。
ルークが距離計算機外してフォースでタイミング測るところ、今だ!っていう瞬間をもっと演出すべきだと思うが、ハン・ソロに全て持って行かれてしまった。