皿鉢小鉢てんりしんり

兵隊やくざの皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

兵隊やくざ(1965年製作の映画)
3.8
俺のビンタはちょっと違うぞ、って言った矢先に拳でぶん殴るシーンで爆笑した。そりゃあ物理的に“違う”のですが……
その後の田村高廣と勝新の逆襲がまた良い。「怪我はさせるな。内臓はいくらめちゃくちゃにしても良いが、血は出させるな」、「骨は折っても良いですか?」、「構わんが目立たないようにやれ。静かにだぞ」、「一番痛いのやりますよ!指を一本ずつ折ってやります」……
この会話、さも成立しているように交わされるが、意味不明すぎる。
この階級がこの所属は殴っても良い、やら、この人がこの人を殴ったのは、あれを無かったことにするから良かったことになる、やらの軍隊内部システム上での終わりなき”制度上の暴力“が繰り返えされる。制度に抗うにはどうするか?これがまた”暴力“しかない。という究極的に閉塞的な暴力映画。『独立愚連隊』等、“内部が1番の悪だ”というタイプの戦争映画はそれなりに多いが、ここまで”内部“しかないのも珍しい。
だからこそ、一見地味な(=暴力を最小限にしか用いない)クライマックスの脱走に、尋常でないカタルシスがある。