ちろる

人生、ここにあり!のちろるのレビュー・感想・評価

人生、ここにあり!(2008年製作の映画)
4.0
バザーリア法の制定によって、精神病院が廃止されたイタリアで実際に起こった物語を映画化したコメディー。
法改正によって行き場のなくなった精神科の患者たちと、労働組合の異端児ネッロ。
切手貼りの仕事さえもまともにできない元患者たちの管理をすることになり頭を抱えるが、彼らのユニークな個性を見抜き、新しい事業を始めようと目論むのだが・・・

イタリアの作品らしく、重いテーマながらもとにかく陽気な人間賛歌。
この仕事が無理ならこの仕事ならできるかも?って元患者たちにちゃんと意見を聞いて仕事への意欲を盛り上げてく過程からとっても良くて、結局紆余曲折を経て彼らがたどり着いたお仕事が廃材を使ったモザイクアートフロアっていうのが面白い。
精神病院で薬漬けにされてた頃の彼らは言うなれば社会の「廃材」と見なされてたのかもしれない。
でも、廃材でも、いや廃材だからこそできることがあるし規定どうりの板じゃたどり着けない作品を生み出す。
そんな事を示唆してるような彼らの作り出すモザイクアートはホントに素晴らしくて、元気をもらえました。
中盤まで何もかもポップに、トントン拍子に物事が進むものだから、後半に突然突きつけられる悲しい現実に心が追いつかなかったけれど、ご都合主義すぎることが無いからこそ描かれる彼らの成長物語に心が自然と動かされる。
人生はやり過ごすものなんかじゃなくて、今ここにある人生を精一杯楽しもうとする事が大切。
身動きがとりづらい環境だって、しっかりと今と自分の立ち位置見つめて、先に進もうとする勇気を彼らからもらったような気がしました。
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