戦中戦後の時代を舞台に男女の逃避行と破滅を描いた、アンリ•ジョルジョ=クルーゾーによるファム•ファタルものの傑作。
マノンの蠱惑的で破滅的な魅力と、それに翻弄される男たちの姿を鮮烈に描き出す。
強かなマノンの言葉は全てが嘘のように聞こえるが、一方で数奇な運命をたどる純愛の物語のようにも見える。
大胆不敵なストーリー展開を以て、愛情や金銭欲などの独善的で非常に人間的な感情を露わにして、愚かしく哀切な人間の深層を映し出す。
ラストの展開も衝撃的で力強い。
ロベールは今までのことを反芻しながら、マノンを初めて掌中に収める。
異常なまでの彼らの愛が心に残る。
複数回観るとまた違った味わいが得られそう。