pika

サインのpikaのレビュー・感想・評価

サイン(2002年製作の映画)
4.0
再鑑賞。
アルミホイルにも耐え、シャマラン出演シーンにも耐え、指チョンパにも耐え、誕生日パーティビデオとそれに反応するホアキンにも耐え、クライマックスのドタバタ劇にも耐え、真面目に、ちゃんと真面目に見終えることができた。
・・・嘘です、今作ばかりはやはり何度見ても耐えることはできず、何度も吹き出して笑ってしまった。怯えた子犬みたいなホアキンとか思い出すだけで笑える、、、

シャマランってなんでこんなにお金をかけないのだろうか、宇宙人襲来パニックムービーなのにCGも逃げ惑う群衆も一切映さず映画史上最小規模なんじゃないかと思えるミニマムさで表現しきってしまう、むしろ不気味なほどリアル。
お金かけてるのは出演料だけだろ、足りなくなって自分が出たんじゃないか!なんてツッコミたくなるが、その甲斐あってシャマランの奇妙なリアリズムと名優たちによる名演が化学反応を起こして独特な傑作になっている凄さ。素晴らしい、、、

2回目の鑑賞だが、覚えてるのは爆笑ポイントだけで大筋はほとんど覚えてなかったんだけど、SFパニック映画ではなくキリスト教の信仰についてのヒューマンドラマだったんだ。当時は信仰心などよくわからずシンプルな成長譚なのかなと思いつつ、爆笑ポイントが強烈過ぎて他はイマイチピンときてなかった。

ラストのオチなんかはアメリカで大ヒットしたのは頷けるなと思いつつ、キリスト教徒ではないとイマイチ煮え切らない後味。
人間に焦点を当てるリアリズムは世界共通であっても、宗教が絡むと概念が変わるから難しいなと実感。
ここまで強烈に、ドラマを超えて哲学的な意味での信仰心を推している作品ってあまり類を見ないかもしれない。私が避けてるだけだろうか?

シャマランも俳優もスタッフも大真面目に作っているのに滑稽で笑えてしまうっていうのは、非常にいい意味で他の作品では体験できないものであるし、むしろフィクションより現実もこんな風に滑稽なものっていう暗喩かもしれない。
フィクションはフィクションたる必要性によって一方向の感情だけで描いているというだけで、シリアスな感情の中で吹き出してしまう滑稽さや、他人事なら当事者とは別の感情を抱いてしまうというチグハグさは、よ〜く考えてみるとかなり現実的かも。
これはズレたセンスなのではなく、シャマランによる計算し尽くされた意図的な滑稽さなのではないかと考えると、ネオレアリズモとかとはまた違ったシャマリアリズムとかそんな凄い作品なのかもしれない。
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