Chris

サウンド・オブ・ミュージックのChrisのネタバレレビュー・内容・結末

4.7

このレビューはネタバレを含みます

幼少の頃有名なドレミの歌のシーンは見た覚えがありとても楽しい映画という印象だった。今改めてみてもマリアの明るくまっすぐな性格に子供や大佐の心が溶けていく様は愉快で楽しかった。3時間弱という長い上映時間で、あっという間に時間が経つと言う感覚というよりは長い時間をしっかり満喫できたと言う感覚だった。長編の物語を読破した時の満足感に近い、ストーリーがまとまっていて無駄なくとても綺麗に展開していたからだと思う。また広大な自然やヨーロッパの景色をうまく使い、場面場面での歌と気分がマッチしていてさにハーモニーを奏でる素晴らしい演出だった。目を飽きさせてないと言う意味でも景色の変化は大きな効果を与えていた。
ミュージカルだけでも十分楽しめるのだが、ここに恋愛と戦争の要素が組み込まれている。まずマリアと大佐はマリア側が恋に落ちたのは少し急と感じたが、夜に歌い合うシーンは前半のカラフルな色使いとは対照的で互いの顔も見えにくいような夜の黒が2人の恋に対しての真剣さを表現していてロマンチックだった。そしてリーゼルとロルフは戦争反対と軍人という立場の違いから最終的には結ばれない。2人の歳が大人になる時を想像し、未来を唄っていた場面を思い返すと本当に切ない気持ちになった。映画序盤から戦争の影が織り交ぜられていたので亡命の話が出た時も混乱せずに受け止めることができた。それにも関わらず前半は楽しい印象しか残ってないことが伏線の貼り方の上手さを表していると思う。
全体を通して引き込まれる工夫がなされていてすごく完成度の高い映画だった。ただ幸せな物語で終わらず歴史的背景を交えることで深みが出ていた。ミュージカル映画として間違いなく傑作に違いない、自分にとっても大好きな作品になった。
Chris

Chris