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サウンド・オブ・ミュージックのundoのレビュー・感想・評価

4.4
愛すべき、この世界。

個人企画、秋のミュージカルまつり第5弾。
言わずと知れた世界的大ヒットミュージカル。
小学生か中学生の頃に授業で観て以来の鑑賞。

舞台は第二次大戦前夜のオーストリア。
ドイツによる併合をよしとしないオーストリア海軍の将校トラップ大佐と彼の7人の子供たち、そして家庭教師としてやってきた修道女マリアの愛と歌声にあふれた物語。
(実話ベースだが脚色も多いようだ。しかし、トラップ・ファミリー合唱団が存在したのは事実である)

今日も本屋さんでこの作品についてのぶ厚い本を見かけたけど、世代を超えて愛されるミュージカルの名作。

本作を名作たらしめているのは、戦争の足音が近づく悲劇の時代という背景の中で、強さや優しさといった人間の美しさが力強く描かれているストーリーと、世界的な名曲の数々。そしてジュリー・アンドリュースの名演に尽きるだろう。

音楽の教科書などでおなじみの「ドレミのうた」「エーデルワイス」からは映画音楽の偉大さを感じるし、「私のお気に入り」「さようなら、ごきげんよう」など名曲だらけ。一番好きなのは「もうすぐ17歳」。

ショートカットが首の長さをひときわ強調しているジュリー・アンドリュースの名演と歌唱なくして本作の魅力が半減以下となるのは言うに及ばず、脇を固めるキャストも魅力的。特に7人の子供たちが愛らしい。長女役を務めたシャーミアン・カーは本作で女優を引退してしまったのが本当に残念な程の素晴らしい出来。本作のヒロインはもちろんジュリーなのだけど、シャーミアン演じるリーズルのヒロイン感はどことなく「ウエスト・サイド物語」のナタリー・ウッドを彷彿とさせる程。ジュリーとはまた違った立場から本作の魅力を支えている。

前半は異質な家庭教師とたくさんの子供たちということで、どことなく「王様と私」を思い出すような異文化交流ものの様相。垣根を越えるのはやはり歌の力。
ジュリー演じるマリアが、歌や遊びを通して子供たちに人生の楽しさや喜びを教える様子が微笑ましくも人間愛にあふれていて美しい。

子供時代に勉強や多少の規律を覚えることはもちろん必要なことだけど、本当に大切なことは、自分が生まれ落ちた世界は楽しさに満ちたものだということに気づいてもらうことだと感じた。



秋のミュージカルまつりラインナップ(全8回)
第1弾「シェルブールの雨傘」
第2弾「ザッツ・エンタテインメント」
第3弾「マイ・フェア・レディ」
第4弾「ザッツ・エンタテインメントPart2」
第5弾「サウンド・オブ・ミュージック」
第6弾???
第7弾???
第8弾⁇?


名作巡りの旅 次回「シンシナティ・キッド」
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