一人旅

ショート・サーキット2/がんばれ!ジョニー5の一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
ケネス・ジョンソン監督作。

大都会にやってきた意思を持つロボット・ナンバーファイブが、銀行の金庫に眠る宝石を狙う窃盗団の陰謀に巻き込まれていく姿を描いたSF。

前作に引き続き、ナンバーファイブの仕草が人間臭くて可愛らしい。眉毛を上下させたり、赤い光を点灯させて悲しみや怒りを表現する。ナンバーファイブが生まれて初めて目撃した大都会の風景に対する新解釈もユーモアたっぷりで可笑しい。毛皮を纏った婦人は“動物の死体を運ぶ人”だし、噴水は“水道管の破裂”、モヒカン頭のヤンキーは“ヤマアラシ人間”として脳内処理する。

また、玩具メーカーの美人社員と彼女に想いを寄せるナンバーファイブ開発者が織りなす恋の駆け引きも見どころだ。ナンバーファイブが電光掲示板にアドバイスを表示させることで開発者の初めてのデート作戦をバックアップするシーンなんかは、途中とんでもない失態もあって笑える。

そして、ブロムカンプの『チャッピー』などのロボットSF映画にありがちなテーマではあるが、続編である本作では人間の心を持つロボット(ナンバーファイブ)の存在に関してもう一歩踏み込んだ内容になっているのが特徴だ。ナンバーファイブはどうしても人間になりたい。人間らしく洋服を無理矢理着てみたり、『ピノキオ』を読む姿が印象的で、一向に人間として認められないナンバーファイブの孤独と悲しみが伝わってくる。人間の見た目は人種を含めて千差万別だが、“同じ人間”として認識している。だが、やはりそこには人間と非人間を区別する一定の境界線が無意識的に存在しているはずで、その境界線を基準にするとナンバーファイブはロボットに違いない。とは言え、ナンバーファイブの心は人間そのもの。見た目はロボット、心は人間だからその存在がとても曖昧だ。たとえば『チャッピー』では元々人間だった者の心がロボットに乗り移ることで、心を持つロボット=人間として最終的に証明した。本作ではそうした工夫はしていないが、人間(大衆)の良心に基づいてナンバーファイブに対する人間証明を試みている。もちろん最後はハッピーエンドの大団円、「I feel alive!」。
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