クリムゾンキング

ドイツ零年のクリムゾンキングのネタバレレビュー・内容・結末

ドイツ零年(1948年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

終戦後復興に向けて歩み出すも極貧生活を余儀なくされているドイツのとある家族というか少年の視点から見た夢も希望もない物語。

父親が病弱で兄は復員兵だが「ドイツ兵」だったことで収容所送りになるのを恐れてヒキニート生活、一番下の弟エドムンドは年齢を偽り働こうとするが昔学校で教わった教師の悪知恵でどんどん悪の道へと堕ちてゆく。
そして無責任な言葉を信じて父親に毒を盛るのであった。

徹底的に冷徹に描かれた戦後の話。
父親が兄を鼓舞する言動を聞きながらしれっと毒を紅茶に混ぜる場面の恐ろしさ。
そして「弱者は死んで当然(要旨)」と言っておきながら「私は殺せとは言ってないぞ!」wと開き直る無責任な態度を取る教師の場面を経て投身自殺を図る場面で終わり。

ブレッソンの「少女ムシェット」などでも同じようなくだりがあったけどここまでダイレクトに描くのはちょっと衝撃。

虚しさの残る作品だった。