ブラックユーモアホフマン

ヴァンダの部屋のブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

ヴァンダの部屋(2000年製作の映画)
4.0
観たなー。気合い入れて観たから寝なかった。でも個人的には『ホース・マネー』とか『コロッサル・ユース』よりは観やすかった。

『骨』までは明らかにフィクション、本作は明らかにドキュメンタリーで、この後の『コロッサル・ユース』からドキュメンタリーとフィクションの境がぼやけてくる(そもそも映画においてフィクションとドキュメンタリーの境は曖昧なものだということは大前提の上で)。
以降の作品はセリフも詩性を帯びまくってくるのでなかなか理解が追いつかないところもあったんだけど、本作に発せられる言葉は生きた人間の生きた言葉なので理解は容易だった。

しかし180分ありながら、起承転結で言えば(そんなことをペドロ・コスタの映画に言うのは野暮であることは承知してますが)起承くらいまでしかいかない。転も結もない。でもそれが結局一番誠実だよなとは思う。現実の立ち行かなさに転も結もクソもないわけで。
このジャンキーだらけで崩れゆく町の濁りきって鬱屈した空気を一緒に吸うために180分は必要な尺だった。

【一番好きなシーン】
“造花はお断り”、鳥カゴ、壁の崩壊シーン全般