RIO

ライフ・イズ・ビューティフルのRIOのレビュー・感想・評価

4.5
1939年、ユダヤ系イタリア人のグイドは叔父の下で給仕として働くため、友人と共に新天地へと引っ越してきた。陽気で機転の利くグイドは、途中に出会った美しい娘・ドーラと奇跡的な再会を幾度も重ねた後に駆け落ちして結婚、子宝にも恵まれるが、ある日突如として戦争の火の粉が降りかかる。

再鑑賞。
人生には出会うべき大切な人がいて、その日々は愛が溢れて美しい。これは人として謳歌すべき当然の権利でしょうが、そうはいかない現実もあるんですよね。しかし、今作に描かれる現実は、よりにもよって本来同じ立場であるはずの人が作り出した残酷なもの。幾度か教わった歴史ですが、映画としてドラマティカルに描かれ当事者の人生を垣間見てしまうと、やはり知識として聞く以上に悍ましく許しがたい怒りを覚えます。
そんな逸脱した状況下でも、人並み外れた明るさと優しさと機転の良さ、そして何より愛で溢れたグイドのおかげで、かつて退屈なお嬢様生活を送っていた妻・ドーラ、ナチス収容所においても恐怖を覚えずにすんだ息子・ジョズエ、そしてグイド自身の人生も結果として大変美しいものになったのでしょう。不幸に嘆き諦め続ける人生と、抗いながら全てをプラスに変換できる人生、どちらが楽しいかなんて一目瞭然なのに、彼のように行動に移すことはやはり難しいのです。日々そんな風に過ごせたら満点でしょうが、なかなかそうもいかないので、どうしても何かに屈しそうになった時には思い出したい、人生で大切にすべき映画の一つとして心に留めています。

戦争映画なのに陰鬱な空気を纏っていないのも、今作においてはプラスに思います。その分なぞなぞ医師との再会後のシーンなどは胸をえぐりますが…。
二度と繰り返して欲しくない、様々な戦争の中でも突出して残忍な歴史的事実。しかし、戦争への怒りを抱かせながらも人生の根本を指南してくれるのが、また名作としての所以ですね。
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