ユースケ

ゼイリブのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

ゼイリブ(1988年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

紙幣に刻まれた「THIS IS YOUR GOD(これは神だ)」をはじめ、「OBEY(服従せよ)」「NO INDEPENDENT THOUGHT(考えるな)」「CONSUNE(消費せよ)」「WATCH T.V.(TVを見よ)」「STAY ASLEEP(眠っていろ)」など、街中に溢れる文字の数々と街中に鳴り響く「SLEEP(眠れ)」の放送。自意識を奪われ、物質主義に支配され、人類は知らない間にエイリアンに侵略されていた。今、真実を映し出すサングラスによって導かれた男たちの戦いが始まる…

子供の頃、雑誌の記事で見た溶けたチーズを浴びせたような顔のエイリアンに一目惚れした思い出の一本。
1980年代にレーガノミックスによって社会に蔓延した資本主義や物質主義、選良主義によるマスメディアを悪用した社会の専制的支配に対する批判や警告が織り込まれた本作は、教会の壁に書かれた「THEY LIVE WE SLEEP(奴らは生き、我々は眠る)」の文字が示すように1980年代の【マトリックス】。サングラスの元ネタは間違いなく本作です。

みどころは、サングラスをめぐる元プロレスラーのロディ・パイパーとキース・デヴィッドによる約6分間にわたる無駄に長く無駄に熱い喧嘩シーン(振り付けはジェフ・イマダ)。
プロレス好きのジョン・カーペンターが趣味でぶち込んだシーンだと思っていましたが、スロベニアの哲学者で精神分析家のスラヴォイ・ジジェック氏によれば、世界の見え方を変えるサングラスをかける事はイデオロギーを変える事であり、この喧嘩はイデオロギーの戦いを表しているとの事。なるほど、納得です。

ちなみに、男女問わずほぼ全てのエイリアンをジェフ・イマダが、レジスタンスのひとりをアル・レオンが演じております。