堊

リリア 4-everの堊のレビュー・感想・評価

リリア 4-ever(2002年製作の映画)
4.5
屋上、団地の寒々しい風景、ソファーに座る少女を正面から捉えたショット、明確に提示される選択肢などムーディソン印がいたるところに。冒頭とラストで飛び降りそうになるあの橋なんて『ショーミーラブ』の橋じゃないだろうか?ストーリー自体は沙村広明のキツイやつみたいな話なのだが、お得意の屋上のショットの開放感がすごい。「ここではすべてが手に入るのよ」には泣く。完全に視覚情報を奪うために機能している主観セックスによって「ポルノは反映画的」の意味がやっとわかった(わからされる)。性行為中の視点は確かに貧しい。パコパコ音が明らかに人力で作られた音でわざわざフォーリーアーティスト雇ってたところにムーディソンの意地悪さ感じてアガった。ムーディソンのへんなズームと正面ショットが「事後」をあらわすための記号になってる。主人公のへんな意地の張り方とブルジョア認定に『ヒミズ』の住田くん思い出すなど……
ムーディソン、ベルイマンがデビュー作を絶賛し、ジェームズ・ガンがフェイバリットにあげているなんて知らなかった。
幻すぎる作品、だったがこのたびようやく鑑賞。数十万円の赤字を抱えて渋谷のど真ん中で上映企画してくださったサム・フリークスのかたがたには感謝感激雨あられ。ふつうに狂ってる。
堊