ギズモバイル

キングダム・オブ・ヘブンのギズモバイルのネタバレレビュー・内容・結末

キングダム・オブ・ヘブン(2005年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

≪ざっくり評価≫
希少なエルサレム王国ネタ。王様と攻城戦の表現は一見の価値あり。
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総合評価 (/7) ☆ 3.6
シナリオ 4
総合演出 4
独創性 4
完成度 4
心理効果 3
相性(*2) 3
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【ネタバレ】
主人公のイケメン鍛冶屋がその出自からエルサレム貴族の息子として大抜擢。しかも主人公のヘマで小競り合いが起こってパパ死んだのでそのまま後継いで領主に。クリスチャンとムスリムの共存を望む病弱なエルサレム国王に気に入られるが、十字軍タカ派が勢力を持ち国内はきな臭い状態。サラッディーン率いるイスラム軍も同様。主人公はイケメンで有能で人望もあるので王様の妹にも気に入られて、瀕死の王様からも結婚してエルサレム国を統治するように依頼されるが、わけのわからない事言って辞退。その直後、タカ派に実権が移った十字軍はイスラムに戦争しかけて全滅。エルサレムに攻めいるイスラム軍を、民兵を率いて主人公が迎え撃ち、結構良い勝負したおかげで捕虜の安全が保証されたので開城。ギリハッピーエンド。その後死亡フラグ抱えたリチャード一世がオマケで登場。

≪突っ込んだ感想≫
リドリー監督の作品は陰鬱でグロくてあまり好きになれないが、この作品は、その特性が中世の陰鬱さといい感じに調和していた。実在のエルサレム王ボードゥアン4世の造形と人柄の表現が素晴らしい。これ以上想像できないぐらいのセンスを発揮している。主人公以上の存在感を放っていて、リドリー監督が最も描きたかったのはこの人物なのではないかと勘ぐってしまう。ただ、仮面外すシーンまで映す悪趣味はやはりこの監督、といったところか…。個人的には避けて欲しかった。

攻城戦も総じて理に適っていて、更に金もかかっているので、監督の特性上イマイチ華は無いのだけど、そのへんの戦闘描写にこだわりもつ人なら見応えは保証できると思う。ただ、主人公のオーランド・ブルームの大根っぷりは酷かった。敗戦必死の状態で兵卒を鼓舞するシーンで全く心が揺さぶられなかったのは初めてかも。心に響かないセリフを棒読みしていた。プロットにも問題があるのかもしれないが、この俳優だとどんな優秀なプロットでも難しかったと思う。

いずれにせよ、十字軍のエルサレム王国陥落をかなり史実に基づいて描いた希少な映画で、当時存在した二人の偉大な指導者を知ることができる点で、存在意義のある映画だと思う。