歩くチブ

クリムゾン・タイドの歩くチブのレビュー・感想・評価

クリムゾン・タイド(1995年製作の映画)
4.7
名前は知っていたけど、まさかこんなに面白い映画だったなんて驚きました。そして、めちゃくちゃしんどい。全身ヘトヘト心臓バクバク手汗ベトベトになりながらなんとか鑑賞を終えました。

反りの合わない頑固な上司もきついが、理論だけ一丁前の部下もきつい。潜水艦という密室空間の中、やってることは戦争そのもので、気づいた時にはもう手遅れ、後戻り出来ない状況に追い込まれていく。

手っ取り早く自分の意志を通すのであれば言葉は不要だし、解りあおうとするならば暴力は不要だ。
冒頭からの艦長と副長の何気ないやりとりに対する伏線回収はシンプルかつ巧妙で、この映画の一番の見所だろう。
二人が初めて顔を合わせた瞬間から最後まで、二人の関係性の変化や考え方の相違については、表情や言葉遣い、そのどれを取っても見せ方が絶妙で本当に素晴らしい。しっかりルールに則りながら無駄なく進行していく様はエンタメ映画として見事としか言いようがない。この社会では誰もがどちらの立場にも成り得る。

黒人差別まで盛り込みながら核戦争をテーマに娯楽要素と強いメッセージ性を兼ね備えたこの作品は、観た人に戦争回避の方法を考えさせる演習の役割を担った教科書映画として、後世に残すべき名作であることに異論はありません。

結論としては、
核がこの世から無くなればいいということ、これに尽きる。人間が扱っちゃいけない。
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