はる

クリムゾン・タイドのはるのレビュー・感想・評価

クリムゾン・タイド(1995年製作の映画)
4.2
漢vs漢!!

潜水艦『アラバマ』を舞台に艦長のラムジー大佐と副長のハンター少佐の双方一歩も引かないバチバチのバトルを繰り広げます。

ラムジー大佐を演じるのはジーン・ハックマン。現場からの信頼も厚く、豪放磊落な指揮を取る彼に真正面からぶつかるハンター少佐をデンゼル・ワシントン。艦長に対してこちらはハーバード卒のエリートで徹頭徹尾規律を重んじる男。そんな二人の間で核のスイッチを押す手順の中で意見の食い違いが発生し、これが揉めに揉めます。

前半の1時間でしっかりとセットアップ。ミッションの内容やキャラクターの性質などが丁寧に描かれます。ここで和やかに仲良くやっていた皆んなが後半ではまさかあんなにバチバチになるとは思いもしませんでした。

後半に入ると敵艦との邂逅や船体の破損など立て続けに起こる事件の中で少しずつ艦長と副長の間で意見が食い違い始めます。ここからは一瞬も気の抜けない緊張の連続。主演の二人のスター俳優を筆頭に『ロード・オブ・ザ・リング』以前のヴィゴ・モーテンセンも手に汗握る素晴らしい演技で盛り上げます。

本作は本部との連絡が途切れたという状況下で潜水艦が世界の全てなんですよね。だから艦長と副長どちらを信じるかも部下たちは自分で決めるしかない。漢たちがそれぞれの正義に基づいて信じる方につく戦いは見応えがありますし、ヴィゴ・モーテンセンのような最後まで葛藤し続けるキャラクターの存在も良かったです。ハンター少佐が正しかったと分かった後のラムジー大佐のカッコ良さ。あそこまで沸騰した感情から潔く間違いを認めるのはそうそう簡単ではありません。ラストシーンでハンター少佐に対して向ける笑顔が最高でした。
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