ねこま

怪談のねこまのレビュー・感想・評価

怪談(1965年製作の映画)
4.0
1965年製作。カラー作品。
4編から成るオムニバスで、タイトルはそれぞれ「黒髪」「雪女」「耳なし芳一の話」「茶碗の中」。
「黒髪」は、京都が舞台で時代は鎌倉か室町あたり?貧しさに耐えられずに妻を捨てた下級武士の話。結局は妻のことが恋しくなり、舞い戻るのだが…

「雪女」雪山で立ち往生した青年が雪女に出会い、ある条件の下に命を助けられるのだが…

「耳なし芳一の話」平家物語の語り弾きが得意な琵琶法師の芳一が、平家の幽霊に目をつけられてしまう話。

「茶碗の中」劇中劇。明治の作家が出版した怪談話に、未完のものがある。それは江戸時代のとある武士のお話で、ある日茶碗に水を入れ飲もうとしたら、水面に見知らぬ男の顔が映り込んでいた。武士は気味悪く思いながらも、一思いにその水を飲んでしまい…

ストーリー自体は古き良き日本昔ばなしだが、壮麗な舞台と劇的な演出、鬼気迫る演技で魅せてくれる大作。舞台セットのシーンが主なんだけど、異世界感がすごい。特に空の表現が印象的。「雪女」の空は、目がいっぱい浮かんでて気持ち悪いんだけど美しい。
「耳なし芳一」の空は亡霊の怒りと、流した血を連想させる真っ赤な雲が浮かんでめっちゃ怖い。
この作品は色彩の表現に力を入れたみたいで、特典映像にイメージカラーを説明した資料が紹介されてた。
私の一番好きなのは「茶碗の中」。
発端から結末まで意味不明なのが怪談新耳袋っぽいし、一番狂気じみてるお話だから。途中で出てくる三人組の武士?の着物のデザイン滅茶苦茶カッコいいんですよ!ちょっとマンガっぽいキャラクター出てきたな、とは思ったんだけど素敵!

三時間の文字通りの大作で、サクサク進んでいくようなテンポのいい作品ではありませんが(耳なし芳一の檀ノ浦の弾き語りとかめっちゃ長い)、観て損はなし!お時間ある時には是非!
ねこま

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