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ロッキー・ザ・ファイナルのnamのレビュー・感想・評価

ロッキー・ザ・ファイナル(2006年製作の映画)
4.1
「"挑戦する"という原点に立ち返った"ボクサー"ロッキーの最終章」

5作目から17年後に公開した本作。もう引退した後のロッカーを描くという事で「有名シリーズの蛇足的な作品なんじゃないか」など「年老いた試合なんか観られたもんじゃないだろう」など考えてましたが、それすら劇中の観客と同じ目線であり、そんな偏見すらひっくり返されてしまいました。

過去の栄光にすがるチャピオンのロッキーと実年齢当時59〜60歳のスタローンの姿が重なります。そして夢の対決という事でかつてのレジェンドチャンピオンのロッキーと現役チャンピオンとのエキシビションが提案されるが世間の笑い者になるかもしれない、ボロボロになって惨めな姿を晒すだけかもしれないという状況でロッキーは
「挑戦する」という選択をします。

岐路に立たされた時に立ち向かう姿はシリーズ1作目の場末のボクサーが世界チャンピオンに立ち向かった当時の彼自身の姿とも重なり、どんな逆境にも挑戦し続けてきた記憶がフラッシュバックする、この年齢だからこそできたストーリーが素晴らしい。

過去シリーズからの名シーンの再現など胸が熱くなる演出も多数あり、そして何と言っても終盤の試合シーンは時代の進歩に伴い映像技術の進化が色濃く反映されています。実際の試合に近い中継演出やスローモーションやインサートの入れ方などとてもカッコよく、試合のドラマチックさを引き立ててます。

そして戦う姿勢には観客の1人になったかのような気持ちで賛辞の拍手を送りたくなりました。

いくつになっても立ち向かう姿に勇気をもらえる前向きな作品であり、"ボクサー"ロッキーの最終章としても素晴らしい作品でした。
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