ゴン吉

男はつらいよ 寅次郎純情詩集のゴン吉のレビュー・感想・評価

3.9
渡世人の生き様を描いたヒューマンドラマ「男はつらいよ」シリーズの第18作目。

渥美清が主演、倍賞千恵子らが共演。
マドンナは京マチ子が演じる余命短い未亡人の柳生綾で、サブマドンナは檀ふみが演じる綾の娘で小学校の臨時教師。
本作品の寅さんの旅先は長野県別所温泉と新潟県六日町。

オープニングは寅さんが北アフリカの港町でお尋ね者の「アラビアのトランス」と名乗って警官たちを殺害する夢で始まる。
寅さん(渥美清が)が旅行商から戻ってくと、妹さくら(倍賞千恵子)夫婦の長男である満男の小学校の先生(檀ふみ)が家庭訪問に訪れるが、面談に口をはさんで台無しにしてしまう。
それが切欠で先生の母親(京マチ子)と知り合う。
果たして二人の恋の行方は? 

寅さんは実家では甥っ子の家庭訪問をぶち壊し、旅先では無銭飲食をして警察に捕まり、妹さくらに補導された長野まで見受け人として迎えに呼び寄せた上に反省する様子もなく費用を支払わせるなど親族に迷惑をかけっぱなしで呆れてしまう。
そんな寅さんは口だけは達者で、名家出身ではあるが寂しくて辛い闘病生活を送ってきた裕福な女性の話相手になり、彼女の心を和ませる。
また旧知の旅劇団の一行が演じる「不如帰」が本作の伏線になっているのがキーポイント。
「人間はどうして死ぬんでしょうね」
人間の死をストーリーの主軸に置きながらも産休を通して出生等も織り込んで、人の一生のはかなさを描いている。
せつなくもあり、生きることの意義を投げかけた作品です。
「お母さま 早くよくなって寅さんに会いに行きましょうね」 

2023.8 BSテレ東で鑑賞(4Kデジタル修復版)
2021.5 BSテレ東で鑑賞(4Kデジタル修復版)
ゴン吉

ゴン吉