ユンファ

やくざの墓場 くちなしの花のユンファのレビュー・感想・評価

4.6
深作欣二と笠原和夫という二人の偉人の所為で、僕はやくざ映画と暴力をこよなく愛する人間になってしまった。
「やくざの墓場 くちなしの花」は、この名コンビにとって最後の作品であり、僕のように彼らに人生を狂わされた人間にとっては、面白いとかつまらないとかいう次元にはない作品である。
大島渚のお世辞にも上手いとは言えないが存在感のある芝居が素晴らしいし、梅宮辰夫と渡哲也が殴り合いの末にせんずり兄弟となる場面は涙なしには見られない。

悲しいかな、40年以上が経過した今現在においても、このコンビを越えるやくざ映画の製作者は現れていない。おそらく、いや確実にこれからも現れない。
渡哲也の主題歌「くちなしの花」が、切ない余韻を残す。
本当の“男”は、みんないなくなってしまったのだ。
ユンファ

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