「関係ないことばっかしね」
「お前に関係あることなんて何もないよ」
愛していると、好きだという人ほど、
愛していないし、さほど好きではない。
秘めている言葉が本当で。
言動とは裏腹な
追いかける視線がそれを証明している。
桃井かおりの熱視線がたまらなく良かった。
追いかけずにはいられない人の背を、
どうしてあと一歩のところで手を引いてしまうんだろう。
人の痛みを誰よりも理解できてしまうからこそ、
自分を求める手を拒否することができない。
悲しむ人を誰よりも一番先に見つけてしまう。
優しい人はいつも哀しい。
懐かしい町、
煙草の煙とコーヒーの湯気で烟った
古びた喫茶店。
繰り返される日常みたいな
ぼんやりとしたピアノの音色。
何もかもが心地よく、
じんわりとあたたかく身体に染み込んでいくような物語。
思い出したようにまた
何度も観てしまうだろうと思った。