satchan

007/ムーンレイカーのsatchanのネタバレレビュー・内容・結末

007/ムーンレイカー(1979年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

1969年の月面着陸の10年後に公開された作品です。シャトルの初飛行は1981年のようなので、それに先駆ける形で公開されたのかな。ムーンレイカーという名のシャトルが盗まれ、輸送機が大破するところから始まりました。シャトルを打ち上げる基地や機械類、どれも古めかしく、ライダー系か、レンジャー系か、日本の戦隊モノみたいな雰囲気があります。ショーン・コネリー版より更に、セリフがコミカルですね。ロジャー・ムーアの個性なのでしょうか、こういうキャラだったんですね。

舞台はヴェネチアのガラス店や、リオデジャネイロの倉庫などを行ったり来たりします。金庫から設計図を盗む時に、ガラス店ベニーニのテロップがあれば分かり易いのになあ、と思いました。最近の映画なら、場所移動するとテロップが入ると思うのですが、この作品にはロケーションが示されていないので、何だか分かりにくい気がします。昔の作品はこんな風だったのでしょうか。

リオデジャネイロのカーニバルで登場した大男が強烈な印象を残してくれました。リチャード・キールさん、2m18cmもあった方なのですね。ロープウェイの乱闘はハラハラしました。とにかく不死身です。大男なのにか、大男ゆえにか、少女と恋に落ちてました。宇宙に出た後も、少女との愛を貫き、宇宙の藻屑となる…コメディタッチな感じですね。

ボンドのお気に入りの飲み物ボランジェは、他の作品にも出てくるということで、今後、気にかけて見ようと思います。7upの看板も目立ってましたね。懐かしのピアノ曲はどうやら「太田胃散」のCM曲らしいです。「正露丸」かな〜と思いましたが、違いました。そして、アマゾン奥地にしか生息しないとするオーキディア・ネグラという蘭の話には脱帽。花粉を浴びると不妊となり、文明が滅びたという発想、面白かったなあ。

Drax 航空貨物にはシャトルが6機もあり、驚きました。NASAが予算で維持できないような代物をホイホイと打ち上げるとは、映画ですなあ。選ばれた者だけが乗船できるのは、ノアの箱船的な考えですね。人間が本能的に持っている思想なのかな。宇宙ステーションを個人所有するのは、現代でもまだ無理だけど、もしかして近づきつつある未来かも?ラストの宇宙戦争シーンは、まるでガンダムの世界でした。

タイトルの“月を熊手でかく”という言葉のイメージが湧かず、調べました。「ばか、あほう」などの意味があったとは…。水面に映る月を熊手でかく、という語源が面白いです。それも、要は税金逃れなのかな。池に隠した酒樽が見つからないように、バカなフリをしたんですね。そうしてみると、この作品の見方も変わってきました。
satchan

satchan