OASIS

シンプルメンのOASISのレビュー・感想・評価

シンプルメン(1992年製作の映画)
3.5
刑務所から脱走した元野球選手の父親を探すため旅に出た兄弟を描いたロードムービー。

ちょっとキザな兄貴が弟に絆されて父親の元へ向かうのだが、そこで出会う姉妹がまた強烈で、特に前髪パッツンのエレナ・レーヴェンソンがルーニー・マーラっぽい薄幸さを兼ね備えていて良い。
姉も姉で、兄貴といい雰囲気になり「これはいけるぞ」とキスをした瞬間にマッハでビンタしたりするという、なんとも心の動きの掴みにくい姉妹だった。

緩い空気の中にそういった男女間の唐突な感情の爆発がぶっ込まれたりするのだが、なんといってもこの映画の一番の魅力はエレナが見せる奇妙なダンスだろう。
フワフワとしつつも水平に滑らかに揺らめくその独特なステップは、ゆっくりとそれを捉えるカメラワークと共にインパクト抜群で、忘れ難いシーンであるのは間違いない(youtubeで観れたりもする)。

エレキギターを弾くガソリンスタンドの店員やポエムを口ずさむ保安官など一癖ある登場人物が万歳なのだが、映画自体は特に盛り上がる訳でも無く肝心の父の正体についてもそれはそれはゆる〜く明かされる。

その旅の中で、頑なに父との再会を拒んでいた兄貴が姉妹の姉との関係を築いていく事で、男は何かとカッコ付けているよりも「シンプル」な方が良いと気付くという所にメインテーマがあるのだろうか。

男女の関係に限らず、シンプル・イズ・ベストが一番理想的ではある。
そんな事を考える映画だった。
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