YasujiOshiba

天国の門のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

天国の門(1980年製作の映画)
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BD(マクザム)で鑑賞。解説の篠崎誠さんの文章に共感。5時間版を見てみたいと思う。1870年、1890年あたり、そして1903年と、アメリカの19世紀後半を再現する映像がハッとするほど美しいのだから、巨大なセットとエキストラによる壮大なフィクションに、大スクリーンで5時間たっぷり、没入してみたいではないか。

そういえば、フェリーニの『甘い生活』でも似たような逸話があったっけ。まだ吹き替えをしていない、現場のカオスがそのまま録音されたバージョンが内うちで上映されたらしいのだけど、その映像がものすごくよかったと、たしかトゥッリオ・ケジチが語っていたんじゃなかったっけ。残念ながら、そんなフィルムは失われてしまい、その場にいた人たちだけの記憶のフィルムでしか残っていない。

音楽だけど、じつはモリコーネだと誤解していた。映画が始まってすぐに、あれこんな音楽やらないよなと思ったら案の定、マリックの『天国の日々』(1978)と勘違いしていたのだ。

IMDBのトリビアによると、モリコーネに打診することも考えられていたみたい。でも、最初はジョン・ウイリアムズが考えられていたらしい。ところが撮影が6ヶ月も遅れ、ウイリアムズは『帝国の逆襲』(1980)と『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(1981)に取り掛からなければならなくなって御破算。

そこで音楽はデヴィッド・マンスフィールドなんだろけど、ちょっと弱いんだよね。ローラースケート場のバンドとかすごく雰囲気がある。でも壮大な自然を描くときに迫力がない。もちろん当時はこんな風だったんだろという音楽ではある。ただそれでは、とって取ってつけたようになる。モリコーネが一番嫌うやつかもしれないな。
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