ローズマリー

キャンディマンのローズマリーのネタバレレビュー・内容・結末

キャンディマン(1992年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

207本目。
最初のパイプオルガンみたいな曲めちゃめちゃ好きすぎるんだけど何よりも大量の蜂の音といい蜂の蠢いてる映像といい集合体恐怖にはきつすぎた。続編色々あるみたいだけどこれに関してはもう絶対観ない虫は無理気持ち悪い。ステイシーの最後の格好は何故だよってなるけど叫び声は頭に響かずイライラもさせられない珍しく綺麗な叫び声でよかった。


--人は俺が罪の無い者の血を流すと言う…だが血は流すためにこそあるのだ…俺はこの”かぎ”の手でお前を股間から喉元まで切り裂くのだ…俺はお前を殺しにやってきた--
画面いっぱいに蠢いていた蜂の群れはビルの谷間に黒煙のように散って行く。これは”本当の話”なんだけどと女子大生が話し始める。「数年前インディアナ州で子守りバイト中のクララが彼氏のマイケルがいるのにかっこいいワルのビリーにのぼせててを呼び鏡の前で『ねえキャンディマンって知ってる?切り落とされた右手にかぎの手が刺さってて鏡に5回名前を言うとスーッと背後に現れる』と話しビリーが4回言ったところで下に行かせ最後の1回を呟いた。すると背後にキャンディマンが現れ1階にいたビリーは彼女の断末魔の叫びを聞き天井から滴る血を浴びた。クレアは切り裂かれ赤ん坊は殺されビリーは頭が変になった」…。
話を聞いていた大学院生のヘレンは同じ院生で親友の女性バーナデットが聞き取りをしている教室に入って行くがその学生の話もそれのバリエーションで「子供みたい」と笑う。シカゴのイリノイ大学。教授のトレバーは満席の講義で”下水道に棲息する巨大なワニ”の話を完全否定しこれは”現代口承伝説”(都市伝説)で都市社会への恐怖が無意識に現れたものだと話したところで終業になる。彼は残っていた4、5人の学生にヘレンを妻だと紹介するが後で特に親しげだったステイシーとは特別な関係?とヘレンが聞くと「僕の事がが好きなだけだ乙女の恋だよ」とトレバーは笑う。また現在バーナデットと都市伝説の論文を共同執筆している彼女は”口承伝説”の講義は来期のはずと責めるが君たちのために履修は変えられないと聞き流される。その後彼女が教室で先ほどの録音を聞いていると黒人の掃除婦ヘンリエッタが「キャンディマンなら公営のカブリーニ・グリーン団地に住んでて皆怯えてる」と声を掛けその団地の住人で同僚の従妹キティを紹介する。キティは「団地に住んでるルーシー・ジーンが風呂場で壁を壊す音を聞き何度も警察を呼んだが信用してもらえず”かぎの手”で引き裂かれた」と話しヘンリエッタは新聞で読んだからほんとよキャンディマンに殺されたのよと付け加える。そのニュースは実在し犯人はいまだ不明だった。彼女は自宅マンションでバーナデットに記事を見せキャンディマンは鏡から現れると言うが実はこのマンションも公団の建物で向かいのカブリーニ団地と同じ構造でバスルームの鏡の裏に壁が無く隣室と繋がっていると言い実際に鏡の裏の薬棚を外して空室である隣室を見せ犯人はここから侵入したのよと笑う。2人は戻した鏡に向かってキャンディマンと唱え始めるがヘレンだけが5回目を言い意気地なしと笑う。その夜ヘレンは酔って帰宅したトレバーに脅かされ憤慨した。
カブリーニ団地は黒人居住区のスラム化した公営団地で黒人ギャングのたまり場。ヘレンとバーナデッドは刑事の振りをしてルーシー殺害事件の現場を目指す。怯えて緊張していたバーナデッドは論文の確証となる絶好の場所だとヘレンに言われ腹を決める。2人は入口にいたギャングらを振り切り4階へと上がるがヘレンは壁中に描かれたアートのような落書きに感嘆の声を上げカメラで撮影。すると突然扉が開きウエイトレス服の若い黒人女性に犬をけしかけられドア越しに謝罪する。件の現場はその隣室で内部は荒らされ落書きだらけでひどい悪臭だった。けれどヘレンはやっぱり同じ構造だと言い写真を撮りながらバスルームの鏡を外し怯えるバーナデッドを残して隣室へと侵入する。隣室の内部は壁が破壊され穴が空いている。そこを抜け出した彼女はその穴が壁に描かれた巨大な黒人の顔の口の部分だと知り呆然と見つめるうちフイルムが終わりめまいを覚える。その黒人の眼は彼女をじっと見下ろし足元には剃刀の刃を仕込んだキャンディが供物のように置いてあった。フィルム取りに戻った彼女はバーナデッドに叱られ出ようとするが先ほどの女性が犬を連れて現れ問い詰められる。論文の取材と知った彼女は他人の家に勝手に入って!と激怒するがヘレンに名刺を渡されたところで赤ん坊が泣き出し部屋へと戻る。彼女の部屋はきれいに整えられ暮らしぶりも良さそうだった。彼女は「論文てあたいらの悪口?」と言うが可愛い男の子ねと言われ自分はアン=マリーこの子はアンソニーであたいの全てだ自分は下の連中とは違うこの子を育てたいだけと言い和解する。彼女は優しく赤ん坊の世話を手伝うヘレンに「白人が来ると必ず何か起きるから」と言い新聞記者や刑事にも色々聞かれたけどルーシーの事よね? あの日隣から悲鳴が聞こえたから通報したけど誰も来なかった、みんなキャンディマンを恐れているからそして「あたいも怖いけどこの子は絶対に渡さない」と呟く。その夜2人はトレバーと共に教授たちとの食事会に行くがヘレンがパーセル教授に論文をからかわれ「あなたを負かすわ」とやり返す。が逆に「カブリーニ団地はキャンディマンの故郷だ。10年前に私がキャンディマンの記事を書いた事をご存知か?」と聞かれ言葉に詰まる。彼は爆笑しキャンディマンの生い立ちを話し始める。
1890年彼は奴隷の息子として生まれたが父親が靴の大量生産機を考案して富豪となった。彼は一流の教育を受け上流社会で育つが並外れた絵の才能があり多くの金持ちに肖像画を依頼された。しかしそのうちの1人である地主の娘と恋に落ち妊娠させてしまう。激怒した地主は悪党に復讐を依頼、悪党は彼をカブリーニ・グリーンに追い込みノコギリで右手を切断、養蜂場から盗んだミツバチの巣をその裸体に塗りつけ彼は全身を刺され苦悶のうちに息絶えた。死体はマキ山で焼かれ灰は野原だったカブリーニ・グリーンに撒かれたのだと。ヘレンは再び1人でルーシーの部屋の写真を撮りに行き幼い少年ジェイクと出会う。彼女はキャンディマンに怯え話せないと言う彼にならば彼がいる所に連れてってと頼み空き地を横切り公園脇の薄汚れた公衆トイレへと案内される。道の途中にはうず高く積まれた家具や廃材の山があるが彼は「祭りさ」と通り過ぎる。ジェイクは「ここで近くのスーパーに母親と買い物に来ていた頭の弱い男の子が殺された、母親はトイレに行きたいと泣き出したその子に腹を立て1人で行かせたが数分後悲鳴が響いた。狂乱する母親の代わりに屈強な男が見に行ったがたった5秒で完全な白髪となり怯えて逃げ戻った、男の子は急所を切られ血まみれで倒れてた、死んで幸せだった」と話しキャンディマンの仕業なの?と聞かれうなづく。彼女はジェイクに見張りを頼み男子トイレに侵入するが糞便の落書きがひどい悪臭を放ち一番奥のトイレの便器の中にはミツバチが群れていた。彼女はなんとか撮影を続けるが外ではジェイクが振り向き「キャンディマン」と呟いていた。それは手下を引き連れた黒のロングコートのギャングの青年で「キャンディマンに用か?俺がそうだ」と言って手かぎでヘレンを殴打し笑いながら出て行く。彼女は左眼が無惨に腫れ上がったまま警察署で面通しを行い犯人を特定、バレント刑事は奴は以前から目をつけていたが証言すれば命を狙われるため証人がいなかった、ルーシーも少年もヤツの仕業だろうと話し「証人は(あなた)1人で十分だ」と笑う。廊下で待っていたジェイクは警察に喋りやがって!と怒り「キャンディマンに殺される」と声を潜めるが彼女はそれは作り話で悪い大人が彼の名を利用しただけだがもう捕まったと話し納得する。その夜彼女は上機嫌で帰宅したトレバーに食事を出すが彼はさほど喜んではいない様子。
数日後登校したヘレンは警察が被害者が黒人だと知らん顔なんてひどい!と憤慨していたが心配していたバーナデッドはおかげで犯人が捕まったと受け流し彼女に警察の写真課の友人から借りたと言う事件現場のスライドを渡し出版社も乗り気だから本になると嬉しそうに話し日会う約束をして立体駐車場で別れる。ヘレンはウキウキとスライドを確認しながら自分の車に向かうがその名を呼ぶ声に振り向くとそこにはダークブラウンのファー付ロングコートを着た長身の黒人がいて慢心する従者を諌める支配者のように彼女を見すえ「お前を迎えに来た」と囁く。その瞬間彼女はめまいを覚え件の部屋の壁に描かれた黒人の顔のビジョンを見る。男は「お前は俺の伝説を疑い作り話だと言った、だから来たのだ」と言いかぎの刺さった血塗れの手を見せ「俺のえじきになれ…お前の命をもらう…人は俺の絵を壁に描き俺の名前を囁く…人々の恐怖なくして俺は存在しない…だから俺は罪無き者の血を流す…俺と来い…」ヘレンは弱々しく抗うが体は動かずハチの群れのビジョンを見て幾筋かの涙を流し気を失う。彼女が狂ったような絶叫で目覚めたのは見知らぬバスルームで服も血塗れ。血痕は扉の外へと続き廊下には肉切り包丁と犬の生首が転がっていて彼女は思わずその包丁を手に取り寝室の扉を開ける。そこはマリーの部屋で彼女は包丁を持ったヘレンを見るなり「あんたがやったのね!」と襲い掛かり床に頭を叩きつけられるが必死で抵抗するうち包丁がマリーの腕を切り裂き彼女を黙らせようと包丁を振り上げたところで警察が来る。彼女はヘリも出動する大騒動の中連行され血塗れの衣服を脱がされ取り調べられる。
バレント刑事は彼女の説明を聞かず夜10時にマリーが帰宅すると犬が殺害されていてヘレンに包丁で襲われた、それは警官たちにも目撃されてると言い赤ん坊の行方を尋ねるが彼女が知るはずもない。また午前3時にようやく家に電話をする許可が出るがトレバーはおらず留守電に貰い受けに来るようメッセージを残す。ヘレンは拘置所でマリーの赤ん坊が黒人の絵の部屋にいてキャンディマンのカギの手が狙っているビジョンを見るが間もなくトレバーが貰い受けに来て保釈される。事件は匿名のまま大々的に報道されるが彼女は駐車場からの先の事は何一つ覚えておらずまたトレバーは優しく2人で乗り切ろうと言うが昨夜は熟睡してたと言い大学に出掛けてしまう。独りになった彼女は暴行の日のスライドの鏡を撮影している自分の背後にキャンディマンがいた事を知り家の鏡を見るが現れたキャンディマンにキッチンに追い詰められ包丁を手にしたところで「俺は存在する。子供は預かった。俺と来なければ子供の命はない」と脅される。また彼は「恐怖こそが俺の命。お前が俺を否定し伝説を揺るがせたため殺しにきた、お前の凄惨な死が俺の新たな伝説になる…俺と来て永遠の命を手に入れろ」と言い彼女の首をかぎの手で浅く切り裂く。彼女は陶然として力を失いなすがままだった。その時見舞いに来たバーナデッドがヘレンの声を聞いて部屋に入りキャンディマンに襲われる。ヘレンは彼女の断末魔の叫びを聞くが床に倒れ動けないうちトレバーが帰宅する。ヘレンは血塗れで「奴がいるのよ…」と呻いていたがその手には包丁が握られていた。彼女は自室のベッドで血塗れのまま手錠で拘束された状態で目覚め暴れて居間に駆け込む。そこにはトレバーもいたがバレント刑事と大勢の警察官が来ていた。彼女は無惨なバーナデッドの遺体を見て嗚咽するがトレバーは義務的に抱きしめただけだった。搬送中彼女は「俺とくれば生への固執は消える、俺は人々の”噂”、生きている必要はない」という囁きを聞きあの部屋で泣く赤ん坊のビジョンを見て涙を流す。
病棟に着くと彼女は個室のベッドに両手足をベッドに縛られ1人にされる。キャンディマンはそこにも現れ「俺の甘美なキスを受けろ」と迫り彼女は人殺し!と叫んで暴れたため鎮静剤で眠らされる。あの部屋でキャンディマンはなぜか赤ん坊を殺さずその血を与えていた。その後彼女は両手を拘束されたままバーク医師と面談するが州検事局の拘置命令書を見せられ君は1ヶ月間鎮静剤で眠ってたと言われる。また彼は君は第一級殺人に問われ私が精神鑑定を頼まれたと言って事情を聞き彼女にあの個室での録画を見せる。そこには暴れて叫ぶ彼女だけが映っていた。彼女は涙ぐみしかし毅然として「私じゃない、私がバーナデッドを殺せるわけがない、証明するわ。彼を呼ぶのよ」と言いその部屋の鏡に向かってキャンディマンと5回唱える。するとバーク医師の椅子の下からキャンディマンが現れ医師の背中をかぎの手で裂き「俺を呼んだな。今夜お前に新たな奇跡を見せてやる」と言い彼女の拘束を千切り窓を突き破り去って行く。ヘレンは外壁を伝って逃げ騒動に紛れて看護師の制服を奪い自宅へと駆け戻る。けれど自宅ではステイシーが壁の塗り替えをしていてヘレンが「出て行って」と声を掛けると驚いて泣き出しトレバーを呼ぶ。彼はバスローブ姿でのん気に出て来るが彼女を見て顔色を失いステイシーに病院に電話をしろと言う。ヘレンはベビーピンクのペンキをぶちまけ「私が怖い?騙し通せるとでも思ったの?裏切ったのね!」と怒鳴って嗚咽しその隙にも電話を掛けようとする彼に「お終いね」と言い出て行く。橋の上で凍える彼女は「皆お前を見捨てるのだ。残された道は一つ。俺のものになれ…」と言う声を聞き涙を一筋流しカブリーニ団地のあの部屋へと向かう。ルーシーの部屋には蝋燭が灯されいくつかの手かぎが吊るされていた。彼女はその一つを持って積み上げられた荷物を上るとその上の部屋は数部屋がぶち抜きになった廃墟で彼の伝説通りの絵が描かれていて奥の台座には不気味な寝息を立てるキャンディマンが横たわっていた。彼女が手かぎをその首に打ち込んだ瞬間彼は目を開けて微笑み「ヘレンよく来たな」と言い「子供を返して。約束よ」と言う彼女に「俺のものになれ。子供は返してやる。それが条件だ」と言い抱き上げる。そして「怖いわ」と言う彼女に「怖れるのは苦痛かその果てか?…苦痛は堪え切れぬほど激しいが死を恐れる事は無い…人々は俺たちの名を壁に描きその恐怖を繰り返し口にする…俺たちは彼らの目の前で死に彼らの心に恐怖を刻みつけるのだ…俺と来い…そして永遠となれ…」…キャンディマンは手かぎで優しく彼女の股間に触れ顔を寄せるが彼女はその手に群がるミツバチに怯えもがく。彼ははだけたコートの奥、腐乱した胸の中や口中にみっしりと詰まった蠢くハチを口移しで彼女に与え気を失なった彼女を憐れむように見つめ「お前は俺のものだ…そして今新たな奇跡が生まれる…」と呟き赤ん坊を連れ去る。
独り目覚めた彼女は奥の壁に描かれたキャンディマンの切り落とされた腕が白人たちの中の女性に差し伸べられている事に気づく。「IT WAS ALWAYS YOU HELEN」…ヘレン、君を愛してた。ずっと君を…女性は彼女に似た白人の女性だった。そして彼女は赤ん坊の泣き声を辿りあの廃材の山へと向かい手かぎで廃材をよけながら奥へと入って行くがジェイクはその手かぎを見て「キャンディマンだ」と呟き松明を持って仲間と共に廃材の山に行きガソリンをかけ住民たちも続々と出てきて周りを取り囲む。やがて彼女は廃材の山の奥で赤ん坊を発見、優しく抱くが背後に現れたキャンディマンに抱きすくめられ口を塞がれその瞬間ジェイクの合図で火が放たれ周囲は瞬く間に激しい炎に包まれる。彼女は「助けて!!騙したのね!」と叫ぶが住民たちの声に掻き消されキャンディマンは「お前は俺と共に旅立つのだ。俺たちの骨は灰になり永遠に離れる事は無い…俺たちはすでに死んでいるのだ…」と頬を寄せる。ヘレンは無感動に炎を見つめるマリーに気づき火のついた木片でキャンディマンの胸を刺し貫き逃げ出す。キャンディマンがもがいて暴れるうち廃材の山が崩れヘレンも火のついた太い木材の下敷きになるが赤ん坊を守り体中炎に包まれながらも脱出。キャンディマンの「戻って来い!」という絶叫が響く中住民が火を消しに駆け寄る。彼女は全身に大火傷を負いながらもマリーに赤ん坊を渡して息絶える。一方キャンディマンは炎に焼きつくされその身体から湧き出した無数のハチは火の粉となって散って行く。
ヘレンの葬儀はクレバーとステイシーとパーセルら2人の教授と言う寂しいものだったがそこにアンソニーを抱いたマリーとジェイクを先頭に大勢のカブリーニ団地の住民が現れマリーに促されたジェイクがキャンディマンの手かぎを棺の上に投げ入れる。その後ステイシーとベビーピンクの部屋で暮らし始めたクレバーはヘレンを失った哀しみに打ちひしがれていた。彼は唯一塗り替えを免れたバスルームにこもり鏡に向かってヘレンの名を呟き明かりを消す。が5回目を呟いた瞬間彼の後ろに頭がケロイドになったヘレンが現れ「どうしたの?何を怖がってるの?」と言い手かぎで彼の股間から上に向かって切り裂き陶然と微笑む。彼の苦悶の声を聞いたステイシーは血だらけのバスタブに横たわる引き裂かれた彼の死体を見て悲鳴を上げる。キャンディマンの部屋の絵は神々しいヘレンの絵に描き替えられていた。
ローズマリー

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