トリュフォー監督の恋愛映画。濃厚な狂気でした。
「偶然に」引っ越してきた隣の女マチルド(ファニー・アルダン)が怖い。
かつて愛しあった二人が再会してからW不倫に再燃するまではあっという間で、なんのためらいも葛藤もない。
焦らし振り回す激しい肉食系マチルドは、マチルドを求めるベルナール(ジェラール・ドパルデュー)を見境なく狂気に落とし入れる。愛しあう二人というより、愛されていないと生きていけないマチルドが永遠の愛を求めたゆえにもみえ、この狂気へGO!の一直線は、日本的な怪談にも感じました。
サスペンス的な恐ろしさがあり、マチルドは誰だったのでしょう。出版社のロイをも誘惑していました。
愛を渇望し、精神のバランスを欠いたマチルド沼に落ちていく人々。
この子どもたち、妻や夫にその後どんな苦しみが残されるのか、考えることなかったんですかね…
トリュフォー作品はのんきなものばかり観ていたから、これは新鮮でした。トリュフォーの心の闇を覗いた感じです。