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夢売るふたりのOBのレビュー・感想・評価

夢売るふたり(2012年製作の映画)
3.7
西川美和監督の長編4作目。
2作目の『ゆれる』がキネ旬ベストテンの2位、3作目の『ディアドクター』はついに1位と、日本映画界において多分どのような企画を出しても通るであろう、地位と名声を獲得したタイミングでの作品。

夫婦二人で切盛りしていた料理店が火事で全焼してしまった為、お店再建の資金稼ぎとして、妻が夫に結婚詐欺をさせるお話。

なかなかトリッキーなストーリーで上述の通り西川氏だからこそ実現した企画。このあらすじを読んで、どんだけ毒妻の話なのか、これを松たか子が演じるのかと思いつつ鑑賞。

松さんの演技力は認めるところだが、私的にはどうしても彼女のルックスは良い人イメージ。冒頭の気の良い女将はドハマリだが、火事からの旦那浮気発覚〜結婚詐欺をさせるくだりの展開は、私のような凡人には機微が理解出来ず、最後まで“?”マーク付きでの鑑賞となってしまった。

加えて、阿部サダヲ演じる“モテる”真面目な夫役も、彼の本領の5割発揮な感じで消化不良感を拭えず。

結婚詐欺が次から次へと成功していく脚本も流石にご都合感ありだし、登場人物たちの繋がりも中途半端で相乗効果を生み出せていない。

うーん、実績を武器に挑戦する姿勢は素晴らしいと敬意を表するが『ゆれる』で感じたような鋭敏さと奥深さは感じられず、残念ながら本作には乗れなかったかな。

しかし(『蛇イチゴ』のみ未見だが)現時点、5打数4安打という打率はやはり驚異的で私の西川監督に対する絶対的な信頼感は揺るがず(笑)。

これからも監督には挑戦をし続けて欲しい。
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