青二歳

小説吉田学校の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

小説吉田学校(1983年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ポツダム宣言受諾が戦争の終了ではない。ドイツと異なり日本であり続けたから。アメリカの占領下から独立を果たして初めて戦後が始まる。その戦争の只中に走る政治家と官僚の物語。
撮影は黒澤組の木村大作。政局ドラマなので登場人物が多く、かつ力関係を見せる必要があると思いますが、そうした緊張度を保つ画面構成はさすがです。ほぼ会話劇で盛り上がりに乏しいながらも楽しく観れるのは木村大作の一手によるものでしょう。とはいえ…正直言えばサンフランシスコ講和条約の60分までで終われば名作と言われたでしょう。……長すぎる。

もう後半のカラーになってからはですね、政局史に詳しくないと分からないですね。サッパリ。なのでモノマネ芸として愉快な気分で観るしかありませんでした。キャストが似過ぎなんだもの…田中角栄をイケメン西郷輝彦(ダミ声頑張ってます)にやらせるギャグキャスティングもいい。声と顔の系統だとアチャコとかにやらせたら良かったかな。60年代前からご活躍されてる俳優って三枚目も基本的に顔立ち整ってるからなぁ、あの破壊力のある下品な笑顔は再現できんな。うん、イケメン西郷輝彦でよかった。
池田勇人(高橋悦史)、宮沢喜一(角野卓造若い)の腐女子向けかホテルシーンは置いといて、池田勇人の男泣きはつられ泣き。
鳩山一郎のヒョロヒョロ芦田伸介がまたいい味わい。三木武吉が若山富三郎ってまた何故?と思ったけど、小沢栄太郎と向こう張るフィクサーの役所だからなんだな。後半に来て納得。梅宮辰夫の河野一郎は顔面の暑苦しさがちょっと似てて笑える。そして一瞬とはいえ…重光葵はだれがやってるの?本人かというくらい似とる。

毎度狂う星の基準ですが、これも映画としてはメリハリがないけど、政局史をじっとりと丁寧に演じる演技巧者たちを見てるとえーい星5.0じゃーとタップしたくなる。
青二歳

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