鶏肉

浮き雲の鶏肉のレビュー・感想・評価

浮き雲(1996年製作の映画)
4.0
夫婦同時にリストラされてしまい、その後も不幸続きのどん底から這い上がる人々の話。とは言え「這い上がってやる…!! 」という程の熱量はなく感情表現は最小限でむしろリアル。夫は健康診断の結果が芳しくなく失意のままブラブラして有り金も全部スってしまうなど落ちてゆく。妻もまた苦い思いをしながらも懸命に職探しを続ける。しかし夫は妻のために(家計のためでもあるが)ボコボコにされたりちゃんとお花を持ち帰ってきたりと実はとても妻思い。妻は昔の仲間達を誘って自分が誇りを持っていた仕事をまた再開できるようになる。「無職になってからまた働けるまで」の中に、色々な不運や不幸があるけれどもいつかいいことがあるよ、と語りかけてくれるようなあたたかい作品。女性たちが男性たちを救っているのもまた小気味良い。
物語そのものもそうだけど、情景を語る音楽や世界情勢を切り取るラジオ、鮮やかな色使いや街並み、路面電車、犬などのちの「枯れ葉」に続く世界観にどっぷり浸れます。
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