カウリスマキを観直そうシリーズ其の十七
この映画があまりに好きすぎるが故、観直す度に「この幸せな思いをずっと保ちたいからもう観ない」と思うけど、観直したらやっぱり幸せになれるから観て良かったってなる。
映画におけるわたしの理想の夫婦はこの二人で、失職しても互いを見捨てず、離れては寄り添い、を繰り返す。良いことがあった時も喧嘩をした後も、騙され殴られぼろぼろになっても身なりを整え花を買って帰る。愛と誇りを見失わない二人。大好きだ。
職安には邪見にされ、紹介所には冷たくされ、働いても搾取される。ずっと苦しい。それでも、同僚が困っていたら酒を奢り、ソーセージを買ったら犬にもあげる。底辺の生活であっても、誰もが誰のことも見捨てない人たち。「大丈夫です、明日はきっと」どこにでもある言葉がこんなに沁みる。名も無き労働者たちは今日も空を見上げて生きてゆく。カウリスマキより愛を込めて。
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エンドロールを見て気付く、lapsi valokuvassa = Matti Pellonpää
子供の写真が飾ってある棚に寄りそうシーン、ここだけはイロナではなくカティ個人の思いも表情に出ている気がした。
マッティ・ペロンパーに捧ぐ。