このレビューはネタバレを含みます
大森監督の三人の灰色の先の光
2010年9月25日 19時13分レビュー。
ベルリン国際映画祭フォーラム部門招待作品。配給リトルモア、脚本、監督大森立嗣。
予告が面白そう。某雑誌での特集記事、レビューの評価良くない感じ。結構前から劇場で独占公開の文字。
決定的な決め手はチラシ。
まず「この三人が見たい」というのと、安藤サクラさんの「ものすごいヌボーッとした表情」の写真。「この表情がどういう風に映像に?見たい」っという事でレイト最終週で鑑賞。
面白かったですよ。二時間チョイありましたが、大森監督の映像の間は程よい切り目。
程良い長さ、ただし余り有りみたいな感じ。才能は、「ある」と思います。
次第に繋がる過去と過去、映像と独白の絡み合いもいい感じ。これからも期待しています。
本作では、幾分カットしても良いのかな?とか、
幾分もっと「劇的」にできたのかな?とか、
もっとある種の若さ的「暴力」をビビットに新鮮に描けたんでわないかな?という少々の遠慮がちな感じがキャラを薄くさせてしまったのかな?とも思いました。
本作は、なにより俳優の素晴らしい演技がつまっていましたね。三人のファンになりましたね!
主役、灰色の光を求める松田翔太君。翔太君は、兄、龍平君と違い、今まで色男的な感じのキャラや謎めいた感じが多いように見受けられました。本作では灰色な暴発する力を抱えたダークな役を演じきっています。
そして、今飛ぶ鳥をなぎ倒す勢いの高良君。素晴らしい「瞳」でございます。注目の俳優ですよね。
大人しく灰色に色が染まる高良君。繊細で、からっぽな心を抱えた青年を演じてます。
いやーこれからの出演作みんな「見てー」と思わせる俳優さんですよね。本作も繊細な明るさで、冷たさを見て欲しいです、是非ファンの方必見ですよ。
一番びっくりした、宮崎あおいさんの兄貴、宮崎将さん!イヤー素晴らしい「目」を見れましたね、彼のドラマだけでも必見!マイナスを素晴らしく体現していてかなり驚きました!
ほんとに
「なんだこいつ」級の存在感でした、しっかり記憶。
そしてやっぱりエロスを感じた「カヨちゃん」こと安藤サクラさん。いやーロマンポルノの女優さんかと思っちゃいました!(たとえ古い)
もう少し出番も欲しかったかなぁと思いましたが、観客を苛立たせる女性を目一杯演じてましたよ!
えー劇中安藤サクラ妙なダンスを披露しています、そこも瞬間必見(笑、可愛い)
他、大森監督処女作「ゲルマニウムの夜」の主役だった新井さんもリアル暴君が良かった。
やはり上手すぎる柄本明、ちょっと似つかわしくない小林薫さん、顔から品がこぼれ落ちていてもう少しきったない感じにして欲しかった。
素晴らしい存在感の洞口さん、美保純さん。なぜかわからないけどハマった多部ちゃん。助演も必見。
だけどもうちょい助演少なくして、脚本絞っても良かったのかも!
三人で簡潔してほしかったのも確かです。
コンクリートをつんざき、突っ込む力。本作三人がそれぞれぶちあたるコンクリートのような壁に出会い、ぶつかるロードムービー。
冒頭の爆音は、三人の鼓動のように後半のバイク音へつながります。
痛々しく、アンハッピーが支配する暗さ。
私として、もっと暗く、もっと暴発しても良かったのかな?
不快な気持ちに少ししかならないのが「逆にイヤ、もっと」みたいな感じを受けました。よりハードに三人だけで終始して魅せて欲しかったかな?
それぞれの灰色の先の光を求め旅していきます。
三人の灰色の先、光の目指すゴールはいかに?
翔太君、高良君、安藤サクラファンは、必見の作品だと思います。
翔太君の怒り、高良君の灰色な冷たさ、安藤サクラの希求するラブを体感して欲しいと思います。
俳優の映画です。久々の暗い青春邦画でした。星は限りなく、四つに近い三つで、、。
追伸
他、若者暴力邦画、青山真治「helpless」、本作にも出ていた山本政志監督「ジャンクフード」等々想起、思い出しました。
あと大森監督の「ゲルマニウムの夜」も見ます。