皿鉢小鉢てんりしんり

魔性の香りの皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

魔性の香り(1985年製作の映画)
3.8
池田敏春やっぱ天才なのかな。なんかどうでもいいところが、とてつもなく良い。
線香花火のソラリゼーションのタイトルクレジット、冒頭の場末のビリヤード小屋からして素晴らしい。誰かに見張られてる気がする、と背中をしきりに気にする主人公、こういう陰気さが池田敏春はほんといいですね……
土砂降りの大雨の多用は石井隆印なんだろうけど、絶妙に使い方変えてきてる感じで、アイデアが豊富。ラストシーン、スタッフロールが出るまで雨のSE消してるのとか見事。

天地真理が旦那ぶっ叩いて去っていくところの俯瞰ショットのスローモーションとか、地下鉄乗る時の、トンネルに入ってく象徴的なインサートとか、いかにも石井隆な水没したアパートの幻想シーンとか、わざとらしくやってるところが、わざとらしいのに全然嫌味に感じないのは一体なんなんでしょうか……

天地真理の病的な感じがすごくって、なんといっても最後のトイレ行くっていて主人公に手を振って部屋を出ていく時の顔に鳥肌が立った。目が見開かれていて、完全に常軌を逸している。