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ブック・オブ・ライフのnetfilmsのレビュー・感想・評価

ブック・オブ・ライフ(1998年製作の映画)
3.8
 1999年12月31日のNY、イエス・キリストがマグダラのマリアを伴い空港に降り立つと人々の間には「新世紀に世界は滅亡するのか?」という不安が広がる。キリストは人間の魂を救済するためにサタンと戦うが、神の怒りを招いて天国から追放されても、果たして人類を救う価値があるのか自問自答している。21世紀目前のNYを舞台にした「ヨハネの黙示録」の翻案である本作は、過剰にコンピュータ化された大都市を生きる人間たちとキリストとマグダラの1日の行動が交差していく。全編デジタル・ビデオで撮影された粒子の粗い映像は、ある種圧倒的にな90年代的な意匠を備えているので、今振り返るといささか古い。

 斜めに切り取られたフレーム、コマ送りのような撮影スタイル、ハンディ・カム、シャッター速度の遅い映像はウォン・カーウァイとクリストファー・ドイルのスタイルをはっきりと模倣している。スーツ姿でマッキントッシュをいじるキリストがサタンと酒を酌み交わしながら、終末論を議論する場面などもある。マグダラ役はPJハーヴェイで、レコード屋で試聴しながら、口ずさむ場面がある。YO LA TENGOも出て来るし、M.V.を手掛けたBen WattやPJ Harveyや嶺川貴子の楽曲が映画内で使われているので、インディ・ロック・ファンは必見である。
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