エクストリームマン

ゴースト・オブ・マーズのエクストリームマンのレビュー・感想・評価

ゴースト・オブ・マーズ(2001年製作の映画)
3.5
2001年にこの話を映画にしちゃうジョン・カーペンターには尊崇の念しか沸かない。

天然資源の採掘場と化し、人類が入植しているている未来(西暦2176年)の火星で、囚人護送のためにシャイニング渓谷を訪れた警官たちは、ゴーストタウンに成り果てた街を発見する。街が何故ゴーストタウンになっていたかといえば、そりゃあうっかり火星に封印されていたゴーストが解き放たれて炭鉱労働者たちに乗り移ったからとしか考えられないわけで、乗り移られた人間は当然自傷したり、剥いだ人間の皮を仮面みたいに被るよね、と。このくらいの感じでナチュラルにゾンビとウォーボーイズの間くらいの容姿&テンションのゴーストに乗っ取られてしまった人間がわんさと出てきて主人公たちを包囲。この包囲からどうやって無事ぬけ出すのか……

場所を西部開拓時代に移せば『リオ・ブラボー』で、現代アメリカなら『要塞警察』、火星なら本作といった感じで、カーペンターの繰り返している好きな型(リオ・ブラボーは彼が好きな映画というだけだが)なのだろう。攻城戦(siege)こそカーペンターの十八番。それを逆転させたのが『ニューヨーク1997』なのかな。

出会った当初は警官と容疑者という関係で、互いに一切信用していなかった主人公メラニー(ナターシャ・ヘンストリッジ)とジェームズ(アイスキューブ)が、次第に信頼するようになった上で来るラストのあの場面はベタだけどとてもよい。アイスキューブは悪い顔で笑うな。最高。助演くらいのポジションでジェイソン・ステイサムも出ていて、彼がアイスキューブと並んで銃構えるカットとかいい感じだった。アイスキューブがエクスペンダブルズ出れば再現できそう。パム・グリアの活躍があまりなかったのは残念かな。

メラニーは腕っ節も気も強いキャラクターだけど、それに関して、わざわざ「女性にもかかわらず」みたいな表現・態度が一切出て来ないのが好感度高い。まぁ背景設定として、火星は女性優位の社会を築いているから、というのもあるのだとは思うけど。

公開された当時より、明らかに2016年現在の方がこの映画への共感というか理解が高そうな気がする。『オデッセイ』とかと二本立てで公開するとよいのでは。なんて。