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ドーン・オブ・ザ・デッドのatsukiのレビュー・感想・評価

ドーン・オブ・ザ・デッド(2004年製作の映画)
3.7
【それでも夜は明けるのか…】

「DAWN OF THE DEAD」という名のゾンビ映画。あのゾンビ映画の金字塔「ゾンビ」と同姓同名の今作はリメイク?オマージュ?そんな位置付けである。

監督ザックスナイダー…
脚本ジェームズガン…

彼らの名前を聞くだけでもう面白かった、そして最高と叫びたい。

確かにあの「ゾンビ」と比べたら物足りなさがあるのは百も承知だ。繰り返す様だがゾンビ映画の金字塔であるし、目に映る圧倒的な面白さと裏にあるショッピングモールで象徴させた社会への風刺。ロメロがゾンビ映画で作り出した芸術性や哲学を再び表現するなんて並大抵の事ではない。

今作に芸術性や哲学はないが、エンターテイメント性に吹っ切った楽しさがここにはある。まず何と言ってもアバンタイトルからのタイトルシーンだろう。狂気乱舞する映像とスタッフロールを交互に見せながら、バックに流れるのはストリートの弾き語りの様なゆるめの音楽。気味の良いシンガーソングライターの歌声が世界の終わりを手短に表現する。

手短と言えばロメロ「ゾンビ」は2時間半ほどあったが、今作は100分以下というスマートさ。あのショッピングモールに今作も同じ様に行くが、早すぎるテンポであっけなくモールに行く。登場人物の集まり具合の早さ、走るゾンビの早さ、じっくりは見せないでそそくさ次の展開へ移る感じ。それを考えると100分以下でこの濃さやこの楽しさを良くまとめたなと思わされる。

エンターテイメント性に吹っ切ったというのもいわゆる暇つぶしのシーンが何とも楽しい。嫌いな有名人に似ているゾンビの頭を撃ち抜くゲームや遠距離チェスやセックスまである。それと緊迫シーンや戦闘シーンもどこか抜けていて面白い。一番じわじわ面白かったのはある緊迫したシーンでエレベーターに乗っているのだが、開けるボタンを押してないのでドアが閉まるのだ。緊迫している状況なのに気の抜けるドアの動きと閉まる時の音によって緊張感がゼロになる感じは微笑ましい。

移り変わるモールの支配権や元からいた者とそこに来た者、そこにさらに来た者などと態度の変化なども面白い。何であの状況の彼女が噛まれる要因にならなきゃいけないの…犬好き女の感情が情緒不安定過ぎる…溢れるクズ人間達…

終盤のエレクトリカルパレードで見せられるフィナーレ、そしてディズニーランドからディズニーシーへ…

ʕ •́؈•̀ ₎「チャンチャラチャンチャンチャンチャンチャラチャ」

エンドロールまで楽しませてくれるこの映画。終わらない恐怖、そして観客までもが噛まれてしまうのか…たとえゾンビがいようとも、たとえ生きる希望を失いかけても、それでも夜は明けるのか…

ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ

色々怒られそうなレビューになりましたが、エンターテイメント性溢れる素晴らしいゾンビ映画でした。
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