揺籠ふぃるす

フロンティアの揺籠ふぃるすのネタバレレビュー・内容・結末

フロンティア(2007年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

大統領選挙中のフランス。極右勢力の台頭により、反発する市民が各地で暴動が起こしている。

混乱に乗じ銀行強盗を働き、オランダへと国外逃亡を図る移民系若者5人組。兄妹の兄サミが銃弾に倒れ、病院に担ぎ込んだ妹のヤスミン、元恋人でリーダー格のアレックス。先行していた2人組が立ち寄った国境付近のさびれたホテルは、異常者家族が経営していたのだった―――。

大部分のサンプリングは『悪魔のいけにえ』(1974)
団欒風景が素敵。
“オラッ、喰えー!”

それと『サイコ』(1960)。
大金くすねてホテル(モーテル)に立ち寄り、悲劇。遅れてカップル到着まで一緒だね。

病院でのお兄ちゃんの扱いヒドい…、見殺し。

偶発的にポルノ撮影になっちゃったけど、同2作をサンプリングしてる『X』(2022)に似てて面白い。

モキュメンタリーの手法も用いた坑道でのシークエンスは『ディセント』(2005)浮かぶ。でも『ディセント2』は2009年なんだね。汚穢[おわい]まみれのシーンは、ネタのレスポンスかな。興味深い。

もう被虐描写は痛い。
足に喰い込むフック…。
スチームで蒸焼…。
アキレス腱切断…。

ヤスミンが攻勢に転じてからは一気に魅せるね。良かったです。せっかくのドレスが返り血に染まる。震えてるのは、あまり観ない演出で演技と共に拍手。

一歩引いて観ると、映画内のフランスをデフォルメしてミニマム化したのが、あのホテルの惨劇(暴動鎮圧、体制側のターン)て事か。

ナチ残党爺、ネオナチ・ボーイズ、ビッチ・シス。ハンス&エヴァ(良心の残っている2人)。純血がどうのと言ってるけど、全員腹ん中はバラバラ。政府体制もバラバラってエスプリか?

題名の邦訳は〈境界線〉とでたので、国を分断する思想とか様々な境界線を取っ払わないとマズいんじゃないの? ってのが裏テーマかなと思ってみたり。

〜追記〜
ナチスとの関係性は、フランスにおいてアンタッチャブルな歴史のようで、そこに切り込んだパンク的ノリみたい。
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