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何がジェーンに起ったか?のMUAのレビュー・感想・評価

何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)
4.2
かつて有名子役として名を馳せた妹ジェーンと、後に映画女優として成功する姉のブランチ。しかし姉はとある車の事故により半身不随になり、ジェーンに介護され生活する羽目になる。
しかし巷ではこんな噂が流れる。「嫉妬したジェーンが姉のブランチを轢いたのではないか?」と・・・。

ベティデイヴィス演じるジェーンの、憎たらしい初老女性と悪意に近い純粋さを兼ね備えた少女という二面性を兼ね備えたキャラがすごい。名作と言われる理由がわかるほどの名演技。
正直(昔の映画はまだ勉強中なので)、今でも尊敬される大女優と言われてもピンとこなかったのだが、これは納得。声色や表情もコロコロ変わり、次第にジェーンのための映画になる。この、カメラワークに頼っていない感じ。ジェーンというキャラにより映画の迫力が何倍にも膨れ上がる様子!
ストーリーも恐らくこれはどんでん返しのジャンルに近いのだろうか、救えない感じが良い。

子役時代の栄光を忘れられないがために、今の自分が初老であることを受け入れられないジェーンと、その姿を正確に映し出す鏡という関係性がさりげなくスパイスとして効いている。
彼女が他人と話しているのにも関わらず、その他人がカーテンの陰に隠れ、鏡に映るのはジェーン一人=実体のない幻に話しかけている狂気の女性、という風にも見える部分がある。
こういうさりげない演出が更に映画のテーマや気迫さを観る者に与えており、何度か見る必要性がありそうな映画。

個人的にではあるが、うるさいベルでブランチに呼ばれるジェーン、ご飯を運んだり「いつかの栄光」を夢見て踊る・・などの光景は何となくディズニーのシンデレラっぽい。キャラは真逆だけど。。。

考察は割愛。

<メモ>
アダルトチャイルド、極端な自己愛
インナーチャイルド=ベイビージェーン人形で表現
鏡の役割(現実的ではない実体のない幻を鏡は写さない)
急な展開にさせないように電話の声色を前半で伏線扱い
周囲の人々の役割(発見者、邪魔者、障害など)
ジェーンの理性を担う人物
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