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グッドフェローズのfujisanのレビュー・感想・評価

グッドフェローズ(1990年製作の映画)
3.8
レビューのために再鑑賞しました。

過去観たときの印象は、ロバート・デ・ニーロがカッコいい、思ったよりグロくて怖いっていう程度の印象でしたが、今回、より深く理解出来た気がします。

とにかく、1990年の映画とは思えない、古さを感じさせない映画でした。

本作は「ゴッドファーザー」に並ぶマフィアものの金字塔。マーチン・スコセッシ監督は48歳でこの「グッドフェローズ」を撮り、30年後の2020年に再び同じテーマで「アイリッシュマン」を撮ったほど、得意とする分野の作品。

監督作品には他に「カジノ」や「ディパーテッド」などのマフィア・ギャングものがありますが、イメージとしては「アイリッシュマン」が一番近い感じ。すでに多くのレビュー・考察で語り尽くされている映画ですので、今回は、「アイリッシュマン」と比較する形で感想を書いてみたいと思います。


「グッドフェローズ」と「アイリッシュマン」

【似ているところ】

■ 描かれている時代
映画は、どちらも1970年代~80年代のマフィアが力を持っていた最後の時代が舞台。禁酒法の時代から暗黒社会を牛耳っていたマフィアも組織対策法、いわゆるRICO法によって急速に力を失っていきますが、その前の最後の時代ですね。

■ 映画の視点
ともに、”誰かの視点”からマフィア社会そのものを俯瞰的に描いています。「アイリッシュマン」ではデ・ニーロ演じる元トラック運転手フランク・シーラン、「グッドフェローズ」ではレイ・リオッタ演じる下っ端ヘンリーの目から見たマフィア社会の歴史。

また、二人は、ともに『マフィアにはなれない人物』であったことも同じでした。マフィアにはイタリアのシチリア島出身者しかなれないため、アイルランド系のフランク・シーランやヘンリーは、最後までマフィアの最末端の捨て駒にしかなれない人物でした。

■ 事実ベースであること
「アイリッシュマン」は実名で、「グッドフェローズ」は微妙に一部の人物の名前を変えているという違いはありますが、どちらも当時実在した人物であり、出来事がベース。

個人的に、グッドフェローズで描かれていた『ルフトハンザ空港現金強奪事件』はだいぶ”盛ってる”んだろうと思ったら、驚くほど事実のままでした。。😨

(ちなみに、マフィアの序列やルールなど、こちらの情報がとても興味深かったです。)
参考:
グッドフェローズがより面白くなるかもしれない何か①20220622|もりおか
https://note.com/mmmm666/n/n7757177771dc

■ 俳優たち
どちらも、マーチン・スコセッシ監督と幼馴染みのロバート・デ・ニーロ、その友人のジョー・ペシが出演。個人的には、俳優業を引退していたジョー・ペシが「アイリッシュマン」を撮るために、半ば無理やり復帰させられたエピソードが好き。

最近はレオナルド・ディカプリオがここに加わっていますが、彼もイタリア系ですし、デ・ニーロがマーチン・スコセッシに紹介したみたいですよね。で、「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」で共演したと。

”ファミリー”を大事にする感じが、いかにもイタリア系です。

■ 映画について
「アイリッシュマン」には「グッドフェローズ」のような若々しさはなく、老境に差し掛かった監督による静かな映画って言われてたような気がしますが、意外にそうでもないんじゃない?っていう印象。

たしかに、「グッドフェローズ」は素早いカット割りや音楽などで華やかさはありますが、歴史が淡々と進んでいく感じは似ていたように思います。


・・・と、ここまで書いて、似てないところがあまりないことに気づきました。。

80年代、90年代の映画は観てると古さを感じるものですが、本作は最近の作品って言ってもいいような古さを感じさせない映画になっていて、あらためてマーチン・スコセッシ監督の手腕を認識させられる名作映画でした。




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