こなつ

花様年華のこなつのレビュー・感想・評価

花様年華(2000年製作の映画)
4.0
アジア映画の巨匠ウォン・カーウァイ監督によるフランス・香港合作のロマンス映画。

この作品で、主役のトニー・レオンがカンヌ国際映画祭の男優賞を獲得。数々の映画賞を受賞している。

舞台は、1960年代の香港。ジャーナリストのチャウ(トニー・レオン)が妻と共にアパートに引っ越して来た同じ日、隣りの部屋に商社で秘書をしているチャン夫人(マギー・チャン)が夫と越して来た。

チャウの妻も、チャン夫人の夫もそれぞれ仕事で忙しく、留守がち。そんな時、チャウの妻とチャン夫人の夫が不倫していることがわかる。

二人は、互いの伴侶に裏切られながら、次第に心寄せて行く。一線を越えないプラトニックな男女の恋模様を、情緒豊かに官能的な映像で綴るウォン・カーウァイ監督の手腕にただただ惹き付けられた。

1960年代の香港は、炊飯器も珍しい発展途上だった為、街並みを再現するために主にタイのバンコックで撮影されたという。雨の降りしきる暗い路地で、物言わず立ち尽くす二人の影が切ない。返還後の香港にもまだこんな場所があったのかと思って観ていたら、バンコックだったんですね。

成熟した大人の恋の物語。

数年後チャン夫人が育てていた男の子は誰の子供?チャウが木立の穴に秘密を語りかけるラストシーンはなぜアンコールワットなの?

全体的に言葉少ない流れの中で、映像だけでは読み取れなかった部分が幾つかあったが、質の高い香港映画に巡り会えた気分で楽しく鑑賞した。
こなつ

こなつ