天豆てんまめ

ヒミズの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

ヒミズ(2011年製作の映画)
4.0
絶望と狂気の最果ての叫び。

染谷将太18歳と二階堂ふみの16歳の奇跡の演技が凄い!

最後の彼らの姿を観たら、得も言われぬ希望と生きる活力が溢れ出す。

当時、ベネチア国際映画祭で、染谷と二階堂がそろってマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した。

染谷将太と二階堂ふみの演技は生の感情が怒涛のように迫る。

感情の迸りが圧倒的。

当時、二人は18歳と16歳にして今までのベストアクトととも思えるほど。

9年経ち今や、二人は2児の父と紅白司会。

隔世の感。。

古谷実が若者の心の暗部を描いた傑作マンガ「ヒミズ」を怪作「冷たい熱帯魚」「恋の罪」すぐ後の園子温が、震災直後に3.11以降の話に脚本を変えてそのまま撮影に突入した。

2011年5月にこれを撮ってる監督とスタッフとキャストがヤバい。

父親の暴力と母親の育児放棄で15歳にして震災直後のプレハブ住まいの祐一と彼を構い続ける突き抜けた不思議女子の景子と2人と、周囲に群がるどうしようもない大人たち。

大人助演陣(吹越満、光石研、「冷たい熱帯魚」の役に雰囲気近いでんでん、渡辺真紀子、キレッキレ窪塚洋介、黒沢あすか、村上淳、渡辺哲)といった怪物級の園組オールスター的な助演陣とガチンコでぶつかる姿は清々しい。

「ヒミズ」を観て、それからの染谷将太二階堂ふみフィルモグラフィを眺めて、そりゃこの映画で園子温監督に魂の奥から感情を引きずり出されたのだから、怖いものがなくなっただろうなと思えた。

3.11からもうすぐ10年。

震災とコロナに挟まれた10年。

ずっと続いている鬱屈した時代に

二人は逞しく表現者であり続けた。

残っている俳優には残っている理由があるのだなと改めて思う。

30代、40代の彼らにも驚かせて欲しい。

ひとまず大晦日は紅白歌合戦での二階堂ふみの司会ぶりを楽しもう✨