ハクリヨクコ

ヒミズのハクリヨクコのレビュー・感想・評価

ヒミズ(2011年製作の映画)
3.3
負のスパイラルに絡め取られないために主人公が固守し続ける「普通」というライン。その防衛線を守るための孤独な闘いは胸を打つ。社会的に生きるために彼が喧嘩を売っているのは、間違いなく社会である。
そして彼も結局は父親を殺し、負の連鎖という現象のどうしようもなさを物語は示す。
彼は社会を求め、社会と闘い、社会に敗北する。だから、そんな彼が出頭し社会に許されることで自分を回復し、社会的な幸せを夢みることが、本当に正しい結論なのか、疑問が残る。
それこそが悲劇ではないだろうか。映画はどんな悲劇も徹底的に肯定する力強いツールだと僕は思う。この映画の結論がそうすることしかできなかったという悲劇ならば、もっと美しいはずだし、新しい希望ならばもっと感動できたはずで、僕にはこの映画が何を言いたいのかよく分からなかった。
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