バナバナ

ペーパーバード 幸せは翼にのってのバナバナのレビュー・感想・評価

4.5
とても素晴らしかったです。
主人公ホルヘは芸人で、劇団の皆からリーダー格で信頼されているにも関わらず、心の中は内戦の空爆で妻子を亡くした傷が癒えずにいます。

当時のスペインはデフレが凄まじく、食べ物も高過ぎてろくに買えない時代。
そんな皆が食っていくのに必死の時代に、彼は未成年の女の子や、孤児の少年の面倒を看てやるのですが、どうやら彼も過去に、共和軍側で活動していた時代があったらしく、彼の劇団にフランコ軍の内偵者が潜入してきます。

ホルヘ達に救われる少年ミゲルが、孤児なのにちゃっかりしていて逞しく、かわいらしい。
そんなミゲルや、フランコ側の軍人に色目を付けられている少女を、ぶっきら棒ながらも密かに守ってやっているホルヘの優しさ。
彼らは不況と混沌の時代に、ただ生きる事に必死なだけなのに、フランコ政権はそれすら許さず、陰謀に巻き込まれてしまうのです。

私は冒頭では、この作品は第二次世界大戦中のイタリアが舞台なのかと思ったら、内戦直後のスペインが舞台でした。
ヨーロッパの人は世界史の近代史で、ここら辺は必ず勉強するだろうけど、日本人の私には時代背景が分かりずらく、私より若い人だと、もっと理解できなかったかも。
しかし、それだと、この作品の素晴らしさが半減してしまうだろうな…と、危惧しました。
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