電気羊

ALI アリの電気羊のレビュー・感想・評価

ALI アリ(2001年製作の映画)
4.0
20世紀もっとも偉大なヘビー級ボクサーモハメッド・アリをウィル・スミスが演じた伝記映画。

ローマオリンピックでボクシング金メダルを描くとしたくアリは、プロへと転向後も名言「蝶のように舞い、蜂のように刺す」のとおり華麗なフットワークで相手を翻弄するボクサーとしてヘビー級チャンピオンの座に就く。
チャンピオンにまで上り詰めたアリだったが、アリが生誕した1940年代のアメリカはまだ黒人差別が色濃く残っていた。
人種差別に反感を持つアリは、やがて黒人至上主義をとなえる「ネーション・オブ・イスラム」の指導者イライジャ・モハメッドやマルコムXの影響を受け、カシアス・クレイという白人からつけられた名前を捨て去りモハメッド・アリと改名する。
その後もアジア人を殺すベトナム戦争の徴兵を拒否するなど国策に従わず反レイシズムを貫いたため、一時はボクサーとしての試合を禁止される。

そんなアリのもっとも有名な試合は、南アフリカのキンシャサで行われた、「象をも倒すパンチ」と言われた最強のハードパンチャーであるジョージ・フォアマンとのタイトルマッチであろう。

アリ陣営は、強打を誇るフォアマンが常に試合の序盤で相手を倒していたことから、打ち合いを避けフットワークで長期戦に持ち込みフォアマンのスタミナ切れを狙う。
だが、アリは試合の途中で陣営の作戦通りに後半までフットワークを使うとフォアマンと同じくらい体力を消耗してしまい結局は勝てないと悟る。
そこで急遽ロープを背にしブロックを固め、フォアマンに好きなだけ打たせてスタミナを浪費させる作戦へと変更する。
アリの作戦通りフォアマンはパンチを連打スタミナを浪費していく。逆にアリは背にしたロープの反動がフォアマンのパンチの威力を半減させるとともに、フットワークを使わずにじっとしていることでラストラウンドまで十分なスタミナを確保する。

そして運命の8ラウンド。打ち疲れたフォアマンが一瞬バランスを崩した瞬間、アリは一気にフォアマンに連打を叩き込みマットに沈めるのであった。
この大番狂わせは「キンシャサの奇跡」として今でも語り継がれている。

映画でなくてもyoutubeでこのシーンがいつでも観られるなんて良い時代になったな。
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