十数年前のフリーター時代、レンタルDVDショップで働いていた。
仕事終わりの雑談で、
「最近オススメの映画を教えて」
と同僚たちに聞いて回った事がある。大半が当時ヒットしていた作品や、誰もが観たことあるメジャーな作品を挙げた中、店長が
「俺はブラックホーク・ダウン」
と真面目な表情で言い切った。今でもハッキリ記憶している。
その時点で既に旧作、しかも戦争映画だというのは知ってたので、そんなに面白いんですか? と聞いたら
「人生観が変わるかもね」
とだけ言われた。
あれから十数年が経ち、ようやく観る機会が訪れた。
いやあ、もう「地獄」ですな。そうとしか形容できない。凄まじかった。
実話を基にした話らしく、アメリカ軍が1993年にアフリカのソマリアに軍事介入したはいいけど、現地の武装化した民兵たちによる強烈な反撃を食らうという内容。
まるでフラグを立てるかのように、序盤で「市民を撃ってはならない、撃つのは、相手に撃たれてからだ」と語るシーンがある。
しかしまあ、アメリカ軍を迎え撃つ現地民の多いこと多いこと。女性も子供も銃を持って襲ってくる。
軍と軍の戦争じゃないからね。軍が圧倒的多数の民兵(見た目は一般市民)に襲われるんだから。この光景がどれほど恐ろしいか。
武器の性能とか個々のスキルとかの、いわゆる一般的な軍事力で勝っていたとしても、圧倒的大差のある人海戦術で来られたら勝てないよね、という典型的な光景。
誰もが織田信長の桶狭間みたいにミラクル起こせる訳ではない、と夢から覚める思いさえする。