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ベオウルフ/呪われし勇者の皿鉢小鉢てんりしんりのレビュー・感想・評価

ベオウルフ/呪われし勇者(2007年製作の映画)
3.3
中世の、今では全く理解できないものの考え方や世界の捉え方を、“分かりやすく現代風にアレンジ”という手法だけはせずにエンターテイメントにしてやる、というニール・ゲイマンの矜持を感じる気がする。劇中歌の作詞なども全部やってて、この手の題材への向き合い方は手抜かりないなと思った。
それだけに、時代感的な飲み込み辛さは演出でカバーしなければならないはずだが、やはりゼメキスの題材的な得手不得手の問題なのか、ダークファンタジーを描くアイデアは『ポーラエクスプレス』のそれと比べると圧倒的に乏しい。これが『ポーラエクスプレス』より20分程度も尺があることが信じられないほど密度に差がある。
とはいえ世間的な評価ほど箸にも棒にもな作品だとも思わない。
グレンデルの色んなバランスの悪さは妙に印象に残るし、ドラゴンの喉を突き刺したら、吐こうとした炎がそこから漏れ出すのも面白かった。
あと起源507年にしては下品な輩の下ネタが、あまり今と感覚が変わらないところに救いがある。